意識を研ぎ澄ませ!! 地上130メートルでのロープ降下訓練


平成28年8月10日、横浜市鶴見区にある市資源循環局鶴見工場において、近年では珍しい超高所からの降下訓練が行われた。昨今、実際の超高層ビルから降下訓練等を行える機会が減っており、隊員にとって高所訓練における経験値を上げることが難しいという現実がある。訓練で降下を行う高さも限られ、それが慣れを招き、高所での危機意識などが徐々に希薄になってしまうという悪循環が起こりやすい。こうした現実をふまえ、降下技術そのものではなく、救助隊員の安全管理能力の向上と強化を目的として行われたのがこの訓練である。
訓練現場となるのは地上約130m、ビル40階に相当する高さの煙突頂上から、約30m下の踊り場まで座席降下する。この訓練は救助隊員が意識を研ぎ澄まし、災害現場に望む姿勢や覚悟、決意を磨くためと位置づけている。1つのミスが重大な結果に直結するこの環境は、安全管理の意識を醸成させるには最適だ。
午前中にまず、三つ打ちロープを用いての座席降下訓練が行われ、午後からはスタティックロープや器具を用いての降下訓練を実施した。この日は訓練を企画した鶴見消防署末吉特別救助隊と、栄消防署豊田特別救助隊の2隊から8名が参加した。
いつになく険しい面持ちで訓練に望む隊員たち。自然と事前確認も慎重になる。降下を終えた隊員に話を聞くと、「高さに対する恐怖は、自分が思っている以上に大きいようだ。三つ打ちロープでの降下では、無意識に右手のブレーキが強くなる。また、ロープの自重でもブレーキがかかるから、ロープを送り出さなければならない。どれも当たり前のことがだが、日常の訓練で同時に体験できることはない。勉強になった」と手応えを話してくれた。
また、三つ打ちロープでの降下に続けて器具を用いた降下を行うことで、どういった点が器具活用のメリットであるかも改めて体感できたという。
実際にリアルな環境に身を置いて訓練を行う。こうした積み重ねが、極限状態に立ち向かわねばならなくなった際に自らを守ってくれるのである。

 

  • 訓練に使用された横浜市鶴見区にある市資源循環局鶴見工場の大煙突。ビル40階に相当する高さ130m部分から降下を行う。
  • スタティックロープとIDを組み合わせた降下。地上が遥か彼方に見える。
  • スタティックロープとストップを組み合わせた降下。降下前の確認もいつも以上に慎重になる。
  • まず実施されたのは三つ打ちロープによる座席降下を実施。(写真/横浜市消防局)
  • 降下点は幅の限られた踊り場部分。降下点を注視しながら慎重に下降器を操作する。
  • 写真のように、降下点には足場も設置されておりさらに幅が狭い。体の向きを調整しながら着地する。
  • 上部では煙突に確保ロープを設定し、器具を用いて実施。
  • 訓練を行うには地上130mまで資機材を携行して上らなければならない。これも重要な訓練だ。

 

この訓練を実施した鶴見消防署末吉特別救助隊と栄消防署豊田特別救助隊の皆さん。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:横浜市消防局 鶴見消防署

写真・文:木下慎次(株式会社ライズ・Rising編集部)

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