大規模災害時における重機活用を学ぶ!重機体験講習会

 近年、日本各地で頻発する地震や風水害を受け、災害系NPO等による重機を活用した機動性の高い支援活動が多く行われるようになってきた。この支援活動は各方面から高い評価を得るとともに、災害現場における重機の有効性を広く知らしめる機会ともなっている。こうした支援活動は重機操縦を生業とする「重機系プロボノ」と災害時のみ重機を操縦する「重機エキスパート」により行われている。一方で、こうしたプロボノやエキスパート以外の者は、重機そのものや重機を活用した現場活動についての知識やスキルはなく、重機が活用しきれていないという現実がある。

 捜索活動などにおいてはそのエリア内において消防職団員などの救助者が活動を展開し、そのサポートとして重機が投入される。つまり、両者が共通の認識をもって活動しなければ事故の元であり、捜索活動が成立しなくなる。また、復旧支援としての重機投入についても、ボランティア活動をコーディネートする側が重機の本質を理解していれば、より積極的な重機投入や局面への割り振りが可能になる。

 こうした観点により、重機についての基礎のキソを学ぶことが出来る重機体験講習会が各地で活発に開催されている。東京都あきる野市において2019年6月29日と30日の2日間(両日共に同じプログラム)実施された講習会では消防職団員や社協スタッフなどが多数参加した。この体験講習会は「重機とはどんなものなのか?」「何が危険なのか?」「操縦するための資格は何か?」といった基礎知識を学び、より高度で効果の高い重機支援活動を皆で実現しようというのがテーマ。そこで操縦資格のない者も受け入れている。

 講習会ではまず、大規模災害時の重機活用についてや小型重機全般(機能・特性等)について、労働安全衛生法による資格制度についての説明があり、重機のメンテナンスやそれに付随して活動可能な環境や活動時のリスクについてレクチャーされる。そして重機操縦体験として走行や簡単な作業機操作をゲーム感覚で体験することで、知識だけでなく感覚としても重機の特性に触れることが出来る。
 いつ大規模災害が襲来するかわからない昨今、重機活用は地域住民に寄り添えるためのスキルの一つとして大きなウエイトを占めるようになってきている。こうした講習会を通し、災害対応にあたる多くの人々が重機について知識を深めておくことが必要といえるだろう。

 

  • 東京都あきる野市において2019年6月29日と30日の2日間実施された重機体験講習会。
  • 小型重機の機能や特性などに関する基礎知識のレクチャー。
  • メカニズムやメンテナンスについても学ぶ。
  • 講師によるデモンストレーション。メンテナンス時や障害物踏破の際にはアームや排土板を駆使して様々な体勢を取ることが出来る。
  • 下部走行体、上部旋回体、作業装置それぞれの操作についての説明。
  • 社協やボランティア団体のスタッフも多く受講した。
  • 講習会では小型重機6台が用意され、現場経験豊富な重機系プロボノ・重機エキスパートが講師となってレクチャーが行われた。
  • バケツの吊り上げ訓練の様子。
  • バケツの吊り上げ訓練の様子。
  • 有資格者は障害物避けながらのバケツ搬送など、高度な技を体験した。
  • 木材で仕切られた狭いスペースを重機で抜ける訓練の様子。
  • 運用時に必要にあるグリスアップについての説明。
  • 災害現場での重機活用の場合、平爪のほうが作業しやすい。
  • 車両積載のデモンストレーション。
  • 講習会の参加者と講師の皆さん。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:重機体験講習会実行委員会

写真・文:木下慎次


初出:2019年10月 Rising 秋号 [vol.15] 掲載

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