第11回CSRMスタッフ養成コースin三木

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■CSRM技術の指導者を育てる

RISE(ライズ)取材班では、国内でも有数の規模を誇る自主勉強会グループである全国救護活動研究会が実施するCSRMの訓練会に密着取材を行いました。
同会では本格的な瓦礫救助訓練施設を活用し、救護活動関係者に研究会で深く研究したCSRMの技術を伝えることを目的とした「CSRMベーシックコース」を開催しています。
このベーシックコースを経験した者が統一的な考え方や随時見直されている内容を把握し、指導方法を身につけ、ベーシックコースで各ブースの説明ができ、全体のコース運営ができるスタッフを養成し、現行のスタッフとの意思統一を目指すのが「CSRMスタッフ養成コース」です。
具体的な内容としては、指導者(説明者)としての話し方、CSRMベーシックコース運営方法、応用的なCSRM技術などを学ぶべく、座学と実技(訓練)を2日間の日程で行います。また、この訓練会は、全国の救護活動関係者の交流や情報交換の場として活用することも目的としています。

 

■この日、この場所で

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2日目となる1月17日の訓練開始前に、全員で黙祷をささげました。

第11回CSRMスタッフ養成コースin三木は平成28年1月16日(土)から1月17日(日)の2日間の日程で、兵庫県広域防災センター内にある瓦礫訓練施設を舞台に実施されました。
お気づきの通り、1月17日はあの阪神・淡路大震災があった日。あえてこの日に、この地で実施することで、絶対に助けるという誓いを新たにしてほしいという主催者側の願いが込められています。
今回のコースには受講者として、消防関係者と医療関係者を合わせて約60名が参加し、時間の限り訓練に臨みました。

 

■全国救護活動研究会

メーリングリストを活用した日常的な情報交換に加え、大きく分けて4つの活動を行っています。
近年の活動の中心となっているのが「CSRMの研究」。年に2回(3会場、計6回)、全国の消防士が集まって訓練会を実施しています。現在では専門家のエビデンスもとり、CSRMベーシックコースとして開催されています。
また「医療から見た救助活動」として、現在の救助方法を研究し、救命率をより向上させる方法を提案しています。会員には医療従事者も多い事から、様々な視点から意見を得て研究を行っています。
NBC災害対応の研究」としては、新しいタイプのNBC災害が発生した場合にメーリングリストを活用して、迅速な情報収集と研究を行っています。硫化水素事案では、その危険性を迅速に調査し、全国の消防士に周知しました。また、ショートピックアップや要救助者の迅速な呼吸保護といった新しい概念の重要性を各方面で発表し、現在ではNBC災害対応のスタンダードとして定着しています。
そして「惨事ストレスケア」も研究を実施。精神的ストレス緩和を目的としたチームミーティングの説明資料を作成するとともに、ストレス解除の方法についても説明会を実施しています。

全国救護活動研究会ホームページ→http://csrm.boo.jp/

基本を復習する【座学】

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訓練に先立ち行われるのが座学。説明者としての基本的な知識と震災時に必要な知識・技術について幅広く説明が行われます。「説明者とは」「救助医療」「ショアリング」「人的基本捜索」「惨事ストレス」などの内容をそれぞれ約30分の講義で復習します。

スキルステーション1:狭隘空間活動

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いよいよ兵庫県広域防災センター内にある瓦礫訓練施設での訓練がスタート。参加者は8つの小隊にわかれ、チームごとに訓練に臨みます。狭隘空間とは身動きがとれないくらいに狭い空間であり、そこで活動する上でのポイントがあります。これを限られた時間で実演を挟みながら説明するというスキルを身につけます。

スキルステーション2:傷者観察

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狭隘空間に閉じ込められた要救助者(傷病者)は発見・接触するまでにも時間を要し、緊急搬出することもできません。また、クラッシュシンドロームに代表されるような特殊な病態も気にせねばなりません。全身接触が可能であれば全身観察、手など身体の一部に接触可能であれば、部分接触として脈拍確認などを行います。観察も自身の五感を活用した観察や資器材を活用した観察が行われ、あわせて、声かけによる精神的サポートも重要。消えかけた命の灯を守るためには何が必要かを伝えます。

スキルステーション3:保温保護

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救助隊により実施可能な処置のひとつが保温保護です。コンクリート等の瓦礫は熱を奪いやすく、さらに失禁などにより要救助者は低体温になる可能性が極めて高いといえます。また、狭隘空間は突起物が多く、これからの保護も必須。この2点をクリアするために実施されるのがシートパッキングです。

スキルステーション4:指揮進入活動

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2日目最初の訓練が指揮進入活動。各小隊内で隊長(指揮者)と進入管理者(進入管理と情報管理を担当)、進入隊員などにわかれ、実際に現着から要救助者接触までの動きを行います。ここでは「進入という行動を中心に活動全体を統制する事」を学ぶのはもちろん、説明者として訓練展示を行う際のポイントの見せ方、伝わりやすい動きなど、伝えるという点も意識して訓練が行われます。

スキルステーション5:人的基本捜索

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隊員が横一列に等間隔に並び、助けを求めている人の声や物音を聞く「人的基本捜索」という要救助者の位置特定方法。声や物音に気付いた隊員は片手を挙げ、もう一方の手で聞こえた方向を指し示します。複数の隊員が指し示すその先が要救助者がいると思われる場所と判断できます。

現実的で過酷な環境を体験するシナリオステーション

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座学、そしてスキルステーションで学んだことの集大成として実施されるのがシナリオステーション。現実的で過酷な環境を再現した中で行われる長時間訓練で、参加者は応援部隊として被災地に入り、局面を割り振られて活動にあたります。

 

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訓練に際して、瓦礫の上には遮光シートを被せて完全なる狭隘暗所空間を再現。また、方々で騒音を流すことで過酷な現場状況を可能な限り再現しています。

 

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進入口からすぐ先は暗闇が支配する狭隘暗所空間。この中をライトの灯りを頼りに進んでいきます。

 

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スケッドストレッチャーに収容した要救助者の救出に成功。

 

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2日間の訓練が終了すると、ワッペンが手渡されます。参加者たちは今後、伝え手としてCSRMに取り組んでいくこととなります。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

写真・文:RISE取材班

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