Grimpday 2017 JapanChallengeProject 現地レポート

 

ベルギーで毎年6月に開催されているロープを使用した救助技術の世界的な競技会「Grimpday(グリンプデイ)」に、日本国内の消防士を中心とした有志の救助関係者がチームを結成し、日本から初めて挑戦するというチャレンジが行われました。
このチャレンジでは遠征費用補完を目的にクラウドファンディングサービスの活用が行われ、株式会社ライズでは「0円からできる支援」の一つとしてホームページにて情報をお伝えしておりました。
この「Grimpday」に挑戦された日本チームから、大会のレポートをお寄せいただきました!!

 

Grimpday とは

「Grimpday(グリンプデイ)」はベルギー・ナミュール消防士協会主催のロープ救助技術大会。
今回のGrimpdayは「Urban Edition(都市型)」というテーマで実施され、1日5想定、2日間で10想定を実施。救出時間と安全性、正確性を競います。
この大会は海外からの参加が多く、ヨーロッパを中心に、ベルギー、香港、イギリス、日本、ドイツ、フランス、チェコ、スロベニア、カナダ、台湾、スペイン、スイス、オランダ、ハンガリー、ポーランドの15ヵ国から30の救助チームが参加していました(1チームは棄権)。
大会参加チームは、1チームあたり選手(リーダー1名、メンバー4名)、要救助者(1名)、コントローラー(安全管理及び評価者1名)の7名で構成され、その他に予備選手兼サポート(2名)、通訳(2名)で参加。それぞれのチームが、それぞれの資機材を持ち込んで参加します。参加チームは消防組織に属する人が多く、その他は軍隊や山岳学校といった団体からも参加していました。
日本からは西日本と東日本の2つのチームが参加しました。

 

 
 

6月1日(木)
午前中 レンタカー手配
市街地視察(大会会場調査)
15:00 装備チェック:ナミュール消防署
19:00 レセプション:ナミュール消防署
6月2日(金)Grimpday 大会1日目
6:00 ビュッフェ(朝食):ナミュール消防署
7:00 コントローラー(評価員)打合せ
7:30 チームリーダー打合せ
8:45 競技開始
18:00 夕食会開始:ナミュール消防署
6月3日(土)Grimpday 大会2日目
6:00 ビュッフェ(朝食):ナミュール消防署
7:00 コントローラー(評価員)打合せ
7:30 チームリーダー打合せ
8:45 競技開始
18:00 夕食会開始
21:00 表彰式
21:30 懇親会(コンサート)

 

5月30日:移動開始

大会へ参加するため、日本の各チームメンバーは前日に成田空港近くのホテルに宿泊し早朝成田へ移動する者、当日早朝の飛行機で各地の空港から乗り継ぎで成田入りする者とで別れて、成田空港に集合しました。
出国にあたり注意したのは預ける手荷物の重量制限。「1人23kg×2個」という制限の中、個人装備に加えチーム装備約150kgを各自に振り分けて輸送するため、1個の荷物の重量が23kg未満となるように調整し手荷物検査を受けました。
成田を出発すると、約12時間のフライトを経てベルギーの首都ブリュッセルに到着。ベルギーと日本とは7時間の時差で、10時50分に成田を出発し、現地に到着したのは現地時間同30日の15時50分でした。12時間近く飛行機の中にいたのですが、時間としては5時間ほど経過しただけという不思議な感覚でブリュッセル空港に到着しました。
入国審査では、審査官にもよるものかもしれませんが、アメリカなどとは違い質問もなく、スムーズに入国することができました。ただ、テロ対策のためか武装した軍人が多数配置されているのが印象的でした。
入国後、空港で現地添乗員の方と合流し、開催地であるナミュールに向かいました。ナミュールのホテルに到着したのは18時を過ぎていたのですが、緯度が高いため辺りはまだ明るく、日の長さを感じました。


 

5月31日:現地視察

大会前々日となるこの日は予備日。時差ボケに身体を慣らしたり、資機材の最終チェックをしたりするために確保していました。
8時30分から全体ミーティングを行い、大会のメイン会場となるナミュール消防署を視察しました。
同署は最近建て替えられた消防署で庁舎も新しく、敷地も広大でした。また、車庫も日本の消防署とは違い屋内訓練場を兼ねた構造になっているのが特徴的。警察との交流もあるようで、この日は車庫内で警察官が警察犬の訓練を行っていました。
敷地内は周回の道路が完備されており、朝から交代勤務者がランニングを行っていました。
庁舎内は大会の準備が行われている関係で見学できませんでしたが、車庫内を少しだけ見せていただき、その後、市街地視察を続けました。
市街地視察では、大会で使用されそうな場所、過去に使用された場所を中心に、城塞跡、付近を流れる川辺等、街並み、街に在る地物等を確認しました。


 

6月1日:装備チェック

午前中にレンタカーの手配を終了させて、旧市街地の再視察及びレンタカーの走行訓練を実施。その後、各自で大会で使用されそうな建物や場所を見て回り、15時からナミュール消防署で資機材チェックを受けました。
ここではハーネスやヘルメット、カラビナ、登降器具、プーリー、その他全ての資機材が入念にチェックされ、チェックを終えた資機材は別室で保管され大会開始直前まで触ることができなくなります。
参加全チームの資機材チェックが完了した後、19時からのレセプションまで時間がありましたので、ナミュール消防署をじっくり見学させていただきました。
前夜祭ともいえるレセプションですが、体調管理を最優先とし、翌日の大会本番に備えて早めに切り上げ、ホテルへ戻りました。


 

6月2日:Grimpday 大会1日目

ホテルを5時40分に出発し、6時からナミュール消防署で朝食。7時からコントローラーミーティング、7時30分からリーダーミーティングが行われました。
このミーティングで当日の会場概要、想定概要が紹介されます。もちろん、想定の詳細については一切説明はなく、実災害対応と同様のブラインド方式となっています。
リーダーミーティングが終わると資機材を持ち、徒歩でPC(前進指揮所)に向かいます。競技はこのPCを起点として実施され、PCにて指令(実施想定の付与)を受けて出動。資機材を手に現場(競技実施場所)へ向かい、想定終了後はPCに戻り終了報告。すると次の指令を受けるという繰り返しになります。この方式は今大会から取り入れられたもので、コントローラーによる採点のばらつきを少なくするためにということでした。
PCから競技実施場所まで、移動距離が長いもので徒歩20分程度。東日本チームは資機材重量が重かったため、この移動時にも体力を削られました。
初日の競技終了時刻は19時すぎ。
あまりの好天で気温が上昇したことに加え、慣れない環境、時差による疲労、そして想像以上にタフな環境で行われる訓練競技により、体の様々な場所がつったり、痙攣したりする症状が各参加者に現れました。
この日の夜は寝ていても、足がつるなどして目が覚めました。


 

6月3日:Grimpday 大会2日目

大会2日目もホテルを5時40分に出発し、6時からナミュール消防署で朝食。7時からコントローラーミーティング、7時30分からリーダーミーティングが行われました。このミーティングで2日目の会場概要、想定概要が紹介されます。
リーダーミーティングが終わると資機材をとり、車両で指定された駐車場へ移動。車両を部署させ、資機材を手に徒歩でPC(前線指揮所)に向かいました。
この日は日差しが弱かったため、初日ほど気温が上がることはありませんでした。それでも、前日までの疲れは抜けることがなく、油断すると、また痙攣したり、つったりする症状が現れました。サポーターの方が、そんな選手のために現地の店で冷たいスポーツドリンクをこまめに購入してくれたり、PCにある果物を持ってきてくれたりしてフォローしてくれました。


 

2日目すべての想定が終了し、PCへの報告が済んだら一旦ホテルへ戻り、徒歩でナミュール消防署へ戻り食事をとりました。
22時頃からナミュール消防署で表彰式が行われました。会場には「静かにするな」という張り紙がされ、会場内は物凄い熱気に包まれていました。
結果は29チーム(30チーム中1チームが棄権)中、西日本チームが23位、東日本チームが26位という結果になりました。

 

順位 チーム名 得点
1 Hohenrettung Feuerwehr Berlin ドイツ 876
2 GRIMP 54 フランス 873
3 Special Rescue Association ドイツ 872
4 GRIMP Geneve スイス 871
5 ESPELEO SOCORRO ANDALUZ スペイン 870
5 GRIMP 57 フランス 870
7 Rope Shepherd ドイツ 864
8 Team Czech Republic チェコ共和国 863
9 Colonna di Soccorso Airolo スイス 861
9 Gravitat スペイン 861
11 Hohenrettung Feuerwehr Dusseldorf ドイツ 860
12 CE CDO MARCHE-LES-DAMES ベルギー 845
13 Grimp Namur ベルギー 844
14 Gasilska brigada Ljubljana スロベニア 840
15 Taiwan Search & Rescue Team 台湾 837
16 Ronin Rescue – Metro Van Fire カナダ 824
17 Hampshire Fire and Rescue Service イングランド 814
18 TEAM SDIS06/COURANT フランス 813
19 Hong Kong Rope Union Rescue Team 香港 812
20 GRS KRANJ スロベニア 804
20 RESCUIND スペイン 804
22 TAIWAN IRON MAN 台湾 784
23 Team Japan West 日本 765
24 Leicestershire イングランド 753
25 ALPIN SCHOOL ハンガリー 750
26 EAST JAPAN 日本 737
27 Bombers de Barcelone スペイン 722
28 HVZ Zone1 West Vlaanderen ベルギー 693
29 VRU オランダ 600
30 WYSOKOSCIOWKA.ORG ポーランド 棄権

 

 


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