緊急特集 西日本豪雨災害

 平成26年8月20日に広島県広島市の北部、安佐北区や安佐南区の住宅地等で発生した大規模な土砂災害。積乱雲が数珠つなぎになって線状降水帯を形成する「バックビルディング現象」により局地的な豪雨をもたらし、これが大規模な土砂災害を招いた。この時、専門家は「こうした気象現象やそれに伴う土砂災害は、今後いつ、どこで起こってもおかしくない」と明言した。事実、平成27年9月関東・東北豪雨や平成29年7月九州北部豪雨なども同現象が原因の記録的な大雨により、大きな被害をもたらしている。

 そして今年、広域的被害をもたらした「平成最悪の水害」が発生した。前線や台風第7号の影響により、日本付近に暖かく非常に湿った空気が供給され続け、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となった。6月28日から7月8日までの総降水量が四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えるところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨を記録。また、九州北部、四国、中国、近畿、東海、北海道地方の多くの観測地点で24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位となるなど、広い範囲における長時間の記録的な大雨をもたらした。この大雨について、岐阜県、京都府、兵庫県、岡山県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県の1府10県に対し、気象庁は特別警報を発表し、最大限の警戒を呼びかけた。後に、防災科学技術研究所が解析を行ったところ、広島県以外にも岡山県や岐阜県など各地において「バックビルディング現象」の発生が確認された。

 さまざまなエリアで同時多発的に集中豪雨が発生したことで、至る所で河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生。死傷者、行方不明者は231人(9月10日現在・消防庁発表)にものぼり、死者・行方不明者299人を記録した昭和57年7月豪雨による長崎大水害以降で最悪の水害、平成最悪の水害としてメディアに取り上げられた。また、全国各地で断水や電話の不通といったライフラインへの被害が発生したほか、道路網の寸断や鉄道の運休等の交通障害が発生した。こうした被害規模などを踏まえ、気象庁はこの豪雨について「平成30年7月豪雨」と命名。また、人的・建物被害が西日本エリアに集中したことから、報道などでは「西日本豪雨災害」と呼称されている。

 西日本豪雨災害において最も多くの人的被害が発生したのが広島県だ。その中でも広島市は死傷者、行方不明をあわせ55人(8月13日現在・広島県発表)という大きな被害を受けている。土砂崩れが多発し土石流に襲われた広島市安芸区の矢野東地区では、道路上に転がる巨石や土砂、瓦礫の除去は進んだが、住宅を襲った土砂はまだ当時のままの状態のところが多数残っている。

 

平時は交通量が多い県道34号線の天神交差点。発災後数日間は濁流のように水が勢いよく流れていた。写真右手に見えるのが、ドライバーらが車を乗り捨て助けを求め駆け込んだホンダカーズ呉中矢野店。

 

捜索活動を展開する緊急消防援助隊の大阪府大隊。

 

  • 崩れた山の状況。このような個所が数多くある。
  • 完成したばかりの治山ダムも土石流を防ぎきることができなかった。
  • 梅河団地の状況。治山ダムを突破した土石流が道路を駆け抜けた。
  • 土石流に運ばれてきた巨大なコアストーンが至る所に転がる。
  • 県道34号線。土砂流出により路面が崩落。
  • 上流では山からの水が道路を流れ続けている。
  • 土石流により破壊された住宅。地震などによる倒壊とは異なる破損状況を見せる。
  • 流された車両が住宅に衝突し折り重なるように留まっている。
  • 下流も橋に瓦礫等が詰まり川から水が溢れ道路に流れる。
  • 下流域では細かい土砂が堆積する。
  • ローテーションを組み、継続的に捜索活動を実施する緊急消防援助隊の隊員たち。
  • 倒壊した住宅の内部検索を図るべく瓦礫などを丁寧に取り除き、一列に並びリレー方式で搬出する隊員ら。
  • 手作業にて土砂の除去が進められる。
  • 景色が一変した住宅街にて破壊された家屋の状況を確認しながら捜索活動を実施する広島市消防局の救助隊員。
  • 生存者の検索を実施する警視庁の警備犬。
  • 人海戦術により土砂や倒壊物の除去を行う愛知県警察の広域緊急援助隊。
  • 捜索活動のため川のように雨水が流れる道路を進む自衛隊員。
  • 自衛隊が重機により道路啓開を行う。

 

※本記事で紹介する画像は広島市安芸区矢野東及びその周辺で撮影したものです。

 

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写真:伊木則人
文:木下慎次

 

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