GRIMP JAPAN 2020

 日本初の国際的なロープレスキュー競技会『GRIMP JAPAN 2020』が2020年2月8日〜9日に岡山県倉敷市にあるブラジリアンパーク鷲羽山ハイランド一帯にて開催された。この大会は国際大会に参加し学び経験したことを日本国内の仲間たちと共有し、多くの災害救助関係者の救助技術の向上と標準化を目指そうというテーマのもとに企画されたもの。急傾斜地や高層建物などの足場が不安定で現場までの到達や搬送が困難な場所において、ロープを使用した救助活動技術を競う。実想定に基づいた活動環境の中で、日頃の訓練において培われた成果を披露し、競い合う場であると同時に、災害救助に携わる関係者の意見・情報交換の場としてのロープミーティングを目的としている。

 本大会には北は青森から南は沖縄まで、混成チームも含め全国17都道府県から10チームが集結。また、日本初の国際的なロープレスキューコンペティションと呼ぶにふさわしく、海外からもカナダから1チーム、台湾から2チームが参加。さらに、ベルギーにて「Grimpday」を主催しているナミュール消防からも1チームが参加。各チームは7名で編成され、2日間で10想定にチャレンジする。各想定は営業中の遊園地内やその周辺に設定され、遊園地の各アトラクションが稼働するなかで開催。これは遊園地を訪れた一般の人々に実戦的な救助活動を目にしてもらおうと企画されたもので、参加者にとっては実災害と同様に衆人環視の中で活動するというリアリティーが与えられた。

 自分たちが選定した資機材を用いて、その場で示された災害想定に対応するという実戦的な「活動」を魅せた参加者たち。その活動に対するジャッジ方法についても新しい挑戦が行われた。こうした競技会では満点からの減点方式による採点が主流だが、この場合、最低限のクオリティ(セーフティー・クリーン・シンプルなど)の活動ができていればOKで、更にクオリティの高い活動をしても加点されることがない。そこで、GRIMP JAPANでは、基準点からの加点方式に挑戦。基準点からスタートして、危険行為やシステムに不備や問題があるなどした場合には減点、そうでなければ活動のクオリティによって加点していく方式としたのだ。参加者の成長を促すには最適な方法ではあるものの、これは非常に難しい挑戦といえる。減点方式であれば10点満点中「ここが問題だから2ポイント減点」というように説明が容易だ。一方の加点方式の場合、10点満点で5点を基準点とした場合、加点幅が5点となる。そこに相対的な評価により3ポイント加点した場合、「あと2ポイント加点されるために何が足りないのか」ということを説明することが困難になる。そこで、この相対的な部分に大きな差異を出さないようにするために、本大会ではコントローラーよりセーフティーオフィサーに多くの配点を持たせることにした。また、各セクションではコースにより評価に相違が出ないよう事前に十分な議論を実施。こうしてセクション内では同じ基準で評価できるように配慮された。
 各地の仲間が行う活動は学ぶべきポイントも多く、また、海外チームの圧倒的な活動スピードを肌で感じることが出来た。すべての人々に大きな成長を与え、GRIMP JAPANは幕を閉じた。

 

 

大会結果 Tournament results


優勝/NR(Nishinomiya Rescue) [兵庫県]

 


準優勝/Hsinchu Rope Rescue Team [Taiwan]

 


3位/ARA(Aomori Research Activities)[青森県]

 

1.NR(Nishinomiya Rescue) [兵庫県]
2.Hsinchu Rope Rescue Team [Taiwan]
3.ARA(Aomori Research Activities) [青森県]
4.Ronin Rescue-Metoro Vancouver Fire [Canada]
5.TRRK [香川県]
6.LINKs [島根県]
7.OFUNATO RESCUE TEAM [岩手県]
8.S56[混成(山形県・新潟県・茨城県・群馬県・福井県・愛知県・兵庫県)]
9.樹説(Tree Climbers)  [Taiwan]
10.SSF(Soja Strike Force) [岡山県]
11.TKC JAPAN [愛知県]
12.Grimpday Namur Team [Belgium]
13.TEAM OKINAWA JAPAN [沖縄県]
14.TR SATSUMA [鹿児島県]

 

大会アルバム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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