令和6年度 東京湾消防相互応援協定に基づく合同消防訓練
横浜市中区新港二丁目新港ふ頭の「横浜ハンマーヘッド」周辺エリアにおいて、2024年11月12日に大規模な合同消防訓練が実施された。この訓練は東京湾消防相互応援協定として東京消防庁、川崎市消防局、千葉市消防局、横浜市消防局、市川市消防局の5都市で締結した応援協定に基づくもので、5都市の消防本部が連携協力して実施するもの。協定都市の湾内、沿岸施設等に大規模な災害が発生した場合における消防活動体制の強化を目的としている。
今回の訓練では横浜港湾内を航行中の船同士が衝突し火災が発生したとの想定で、消防艇や消防ヘリコプターによる要救助者救出訓練や、陸上部隊も連携した一斉放水訓練等が実施された。また、訓練には5都市消防本部に加え、横浜海上保安部、神奈川県横浜水上警察署、横浜市港湾局、新港ふ頭客船ターミナルなどの関係機関も協力。消防ヘリコプター4機、消防艇および関係機関の舟艇12艇、消防車両6台が参加した。
訓練は14時から15時30分まで、4つのフェーズに分けて実施された。フェーズ1は船舶衝突事故が発生し、その衝撃で乗客が海上に投げ出された想定での水難救助訓練。中消防署の指揮車と特別高度救助部隊の総合指揮車が現場に駆け付け指揮本部を設置し、東京湾消防相互応援協定に基づく応援要請を行うと共に、消防ドローンによる上空からの情報収集を実施する。海上では横浜水上警察署の警備艇が救助活動を展開する。フェーズ2は衝突した船舶で火災が発生し、熱さに耐えかねた乗客が海に飛び込んだことを想定した火災救助訓練。海上の要救助者3名に対し、消防ヘリコプターから隊員3名がリペリング降下で進入し、確保した後にホイスト救出を行う。フェーズ3は消火・流出油対応訓練として消防艇と横浜海上保安部の巡視艇が出動し、火災船舶へ放水を実施。また、海上の流出油に対しての撹拌放水も実施された。フェーズ4は一斉放水・状況確認として、海上の消防艇及び巡視艇、そして陸上からは「ドラゴンハイパー・コマンドユニット」の大型放水砲搭載ホース延長車などが参加しての一斉放水を実施。消防ヘリコプターによる現場上空の旋回飛行により周辺海域の最終状況確認が行われ、訓練が終了した。
今回の合同消防訓練は、5都市の消防機関や関係機関が連携し、災害発生時の迅速かつ効果的な対応体制の強化を目的としたものであり、一連の現場活動について実践的に確認がなされた。訓練に参加した各機関は、災害時に迅速かつ円滑に対応できるよう、協力体制を一層強化したといえるだろう。
訓練に参加した主な舟艇・ヘリコプター
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本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:横浜市消防局
写真・文:木下慎次
初出:2025年4月 Rising 春号 [vol.37] 掲載