第12回CSRMスタッフ養成コース
Confined spaceとは身動きがとれない程の狭隘空間を指し、地震などによる建物倒壊や土砂崩れなどの現場で要救助者が脱出不能に陥っているその場所と言える。こうした空間での活動技術が「CSRM」と呼ばれるもので、国内有数の規模を誇る「特定非営利活動法人(NPO法人)全国救護活動研究会」が実施する訓練会には毎回全国から参加者が殺到している。
平成28年12月17日(土)~12月18日(日)の2日間の日程で、兵庫県広域防災センター内にある瓦礫訓練施設にて、同会による「第12回CSRMスタッフ養成コース」が実施された。同会では別に「CSRMベーシックコース」を開催しており、これを経験した者が統一的な考え方や随時見直されている内容を把握し、指導方法を身につけ、ベーシックコースで各ブースの説明ができ、全体のコース運営ができるスタッフを養成し、現行のスタッフとの意思統一を目指すのがスタッフ養成コースだ。
訓練に先立ち座学が行われ、続けて行われるスキルステーションでは64名の参加者が8つの訓練小隊にわかれて時間の限り訓練に臨む。そして、締めくくりとして実施されるのがシナリオステーション。現実的で過酷な環境を再現した中で行われる長時間の想定訓練だ。
大規模地震や土砂災害などが続発する昨今、活動技術の引き出しの一つとしてCSRMが再注目されている。参加者も実際に瓦礫内部に進入するための手技としてだけではなく、当該活動の実態や注意点を学ぼうとする姿勢が強く感じられるようになっている。
■全国救護活動研究会
メーリングリストを活用した日常的な情報交換に加え、大きく分けて4つの活動を行っています。
近年の活動の中心となっているのが「CSRMの研究」。年に2回(3会場、計6回)、全国の消防士が集まって訓練会を実施しています。現在では専門家のエビデンスもとり、CSRMベーシックコースとして開催されています。
また「医療から見た救助活動」として、現在の救助方法を研究し、救命率をより向上させる方法を提案しています。会員には医療従事者も多い事から、様々な視点から意見を得て研究を行っています。
「NBC災害対応の研究」としては、新しいタイプのNBC災害が発生した場合にメーリングリストを活用して、迅速な情報収集と研究を行っています。硫化水素事案では、その危険性を迅速に調査し、全国の消防士に周知しました。また、ショートピックアップや要救助者の迅速な呼吸保護といった新しい概念の重要性を各方面で発表し、現在ではNBC災害対応のスタンダードとして定着しています。
そして「惨事ストレスケア」も研究を実施。精神的ストレス緩和を目的としたチームミーティングの説明資料を作成するとともに、ストレス解除の方法についても説明会を実施しています。
全国救護活動研究会ホームページ→http://csrm.boo.jp/
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:特定非営利活動法人全国救護活動研究会
写真:伊木則人
文:木下慎次