MR1 Rope Rescue Workshop Basic course

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■成熟期に入ったロープレスキュー

いわゆる「都市型ロープレスキュー」を日本の消防救助隊が取り入れだして10年ほどの年月が経過しました。現在では特別な存在ではなくなった編み構造ロープや各種ギア等ではありますが、操法的な統一された基準がないことから、採用消防本部ごとに取り組みの内容などに差異があるのも事実です。
そこで、通常業務における習熟訓練に加え、自主勉強会により知識や技術を磨き、さらに、勉強会(訓練会)という場を通して本部の垣根を越えた人のつながりを強め、情報交換を行うといった取り組みが各地で進められています。

r004-002-300x176■ロープレスキューの基礎を学ぶ

MR1では特別訓練として、平成28年2月1日(月)~2日(火)の2日間に渡り「MR1 Rope Rescue Workshop Basic course」を行いました。
参加者の勤務シフトを考慮し、同一内容を2日に渡り実施したこの訓練会は、「改めてロープレスキューの基礎を学ぶ」というテーマのもと、同じく東北地域で活動する自主勉強会の「青森県救助救護検討会」(Aomori Research Activities ~ARA~)から仲間を招いて行われました。
内容はシンプルで「そもそもロープレスキューとは何なのか?」ということについて、座学と実技を交え、これまでの消防救助を否定するのではなく、発展的観点から消防のレンジャーロープと編み構造ロープを比較し、ロープレスキューを学ぼうというもの。座学と実技にわけ、時間の限り学びを深めました。

 

■MR1(エムアール・ワン)
Miyagi Rescue Unity 1の略で、宮城県内のRescueに関わる仲間の結束を表しています。県内の消防職員が中心となり海保・警察等の組織間の壁を越えて訓練、検証、講演等を行う自主研究グループです。

 

落とさないために

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まずは多賀城市体育館で約1時間30分の座学を実施。何事にもメリットとデメリットがあって当たり前で、それらを正しく理解することからスタート。また、ロープレスキューにおいて絶対的なテーマである「落とさない確保」や、実施する上で重要な要素となる「アンカー強度」など、文字通り基礎の基礎である部分を再確認しました。

 

時間の限りロープに触れる

r004-004午後はみなと公園に移動。園内の傾斜地を活用し、2チームに分かれて時間の限り実技訓練を行います。
実技訓練も最新のロープレスキューテクニックを学ぶといったスタンスではなく、編み構造ロープなどを用いたロープレスキューのメリットや注意点を理解するという、導入部に的をしぼった構成。たとえば、傾斜地に滑落した要救助者を救出する場合は、散策道から斜面に入り、草木が茂り足場悪い斜面を資機材を持って下る。要救助者に接触したなら担架収容して、斜面を搬送しなければなりません。活動内容はシンプルですが、実施する活動隊員の負担はかなり大きいのは想像の通り。これを、担架と自分を索で結ぶことで体重を預けることができ、隊員の斜面移動が格段に行いやすくなります。もちろん、倍力システムを活用して担架を引き上げることで迅速性や省力性も向上することが出来ます。こうしたメリットの部分を学ぶとともに、これだけの荷重を支える支点の強度に気をつけるといった点も学びます。

 

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システム設定については先進の海外諸国などでも研究が進み、日進月歩で変化しています。訓練ではこうした点を踏まえた最新技術のレクチャーではなく、システム設定を行う上でのカラビナの荷重方向、ロープなどの流れ、それぞれの隊員がどこを見て何に注意を払うかといった、当たり前ながら普遍の重要ポイントに重点が置かれます。日々の訓練などでは、とかくシステム設定そのものなどに意識が向きがち。いわゆるロープレスキューマジックと呼ばれる現象に陥り、こうした基本を無意識にスルーしてしまう傾向があるようです。だからこそ、徹底的に基礎を学ぶスタイルがとられているのです。
指導役やそのサポート役も、同じ消防人。だからこそ、同じ目線で経験談を踏まえた情報交換が可能となり、参加者も気兼ねなく質問をぶつけられます。
知識や技術はもちろん、参加者全員が様々な刺激を得られたようで、時折小雪が舞い散る厳しい寒さの中、参加者は充実した表情で訓練に臨んでいました。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

写真・文:RISE取材班


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