Grimpday 2017 JapanChallengeProject 現地レポート

 

 

 

毎年ベルギーで開催され、10年以上の歴史のある世界的なロープレスキューの技術を競う競技会「Grimpday」を知ったのが1年ほど前。
仲間たちの間でもGrimpdayの話題があがり、日本でこれまで取り組んできたロープレスキューが世界でどこまで通じるのか、世界との違い何なのか、共通する部分はどこなのか、そんな想いを持つ有志が集まり、Grimpdayへのチャレンジが始まりました。
そして、どうせやるならしっかり準備をして大会に臨みたいということもあり、事前の国内での訓練等を考慮して、西日本と東日本の2つのチームでの挑戦することになりました。
日本から初めての挑戦、事前の情報も少なく、過去の大会画像やアジアから出場経験のあった台湾チームから情報を得ながら少しずつ手探りで準備を進めてきました。
事前の訓練も最終的には毎月実施しましたが、西日本とはいえ、兵庫県から沖縄県までの有志。集まるだけでも負担が大きく、なかなか十分な訓練はできませんでした。それでも連絡を密に取り合うことで互いに支え合い、フォローし合える素晴らしいチームに仕上がったと思います。
そして、現地入りし本番前日の資機材チェックに様々な国のレスキューチームが集まって来た時の興奮は、今振り返っても鮮明に思い出されます。
大会は早朝から集まり、競技開始から終了まで約10時間以上活動するという、普段なかなか経験することのない状況で、身体的にも精神的にも非常にハードなものでした。随時休憩は取れるのですが、時間内に5想定をクリアせねばならず、スムーズに活動できれば十分な休憩も取れますが、不慣れな私達は十分に身体を休める暇もありませんでした。それでも、全ての想定をクリアすることができないチームがいる中で、2日間計10想定を全て終了することができたことは貴重な経験となりました。
大会内容については、大規模災害の応援のようなイメージで、大会本部となったナミュール消防署が受援本部。1日ごとの指揮所(PC)が前進指揮所。参加チームは前進指揮所で指示された活動場所へ行き、ミッションが終了したら前進指揮所(PC)に戻り次の指示を受け転戦というまさに実戦的なものでした。このため時間計測もほとんどの想定が、想定付与から資機材を撤収して次の現場に行ける態勢をとるまででした。
こういった活動を大会を通じて経験しておくことで、実災害での対応能力も非常に向上するのではないかと感じました。
技術的な部分については、考え方に大きな相違はなく、指摘内容も十分に理解できる内容であったことからこれまでやってきたことが間違っていなかったという手応えを感じています。
また、様々な地域の規格に基づいた資機材や手法がありましたが、2系統(メイン、ビレイ)の考え方、安全率10:1の考え方などは同じであり、違いにばかり注目してしまいがちな中で、共通する部分を感じることができたことは今後の国内での取り組みで参考になると思いました。
しかしながら、手応え以上の課題もありました。
ひとつはシンプルであるということ。上位のチームはシンプルな設定、シンプルな考えで活動していることが多く、見ていても非常に分かりやすいものでした。
そして、もうひとつの課題は迅速性でした。今回の活動のなかで多くの評価員の人たちに「日本チームは非常に丁寧で安全な活動をしているが、とにかく遅い」という指摘を受けました。
安全であることを大前提としたうえで、よりシンプルな活動をすることが迅速な活動に繋がると感じました。
このことは資機材の量にも言えると思います。今回、私達は初挑戦で過剰に備えたということもありましたが、必要最低限の資機材量を見極め、少ない資機材で様々な現場に対応できる応用力を身に付けることも必要だと感じました。
とはいえ、こういった今後の課題はありますが、この初挑戦を達成できたことには達成感を感じています。
最後に、大会を終え改めて感じていることは、この初挑戦が達成できたのは選手だけでなくサポートしてくれた仲間、通訳の皆さん、そして何より応援してくれた全国の多くの方々のお陰であるということです。この感謝の気持ちを忘れず、自分たちの経験したこと、感じたことを今後伝えていかなければならないと感じています。
この場をお借りしまして、すべての皆様に御礼を申し上げます。
御支援、そして御協力、誠にありがとうございました。

 

 


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