Grimpday 2017 JapanChallengeProject 現地レポート
東日本チームが目的としたのは、東日本チームがこれまで約10年間学んできたロープレスキューがヨーロッパのロープレスキューを主とした場でどう評価されるのか、また、現地でヨーロッパのロープレスキューを実際に見て感じることでした。さらに、チームメンバー全員が全てのポジションを担当するというのがリーダーの意向であり、参加者全員が全てのスキルをアップすることも目的でした。
Grimpdayにおける東日本チームへの評価は「遅い」ということ。想定によっては東日本チームの半分ほどの時間で救出を完了するチームもあったようです。実際に各想定で隣のチームを見ていても、システムがとてもシンプルであり、かつ、最低限の安全基準に沿って行われているのが分かりました。「これが壊れても落ちない」「片方が壊れても落ちない」「手を離しても落ちない」という最低限の安全性は確保されているものの、私たち日本の消防救助隊が考える「落ちない」という考え方と差があることを感じました。言葉にすることは難しいので、ここで感じた点は、今後勉強会などを通して伝えていけたらと思います。
海外のチームを見て感じたことは体格差や体力差、指揮命令の素早さ。
脚のような腕、腰のような脚、2m程もある身長、40kg程の資機材を持ったまま階段を2段飛ばしで駆け上がる体力、2日間同じ想定を行ったのにも関わらず、夜に騒げる体力は真似できないと感じました。
また、資機材チェックの段階で他チームの資機材数の少なさを感じました。私たちは初参加という事もあり多くの資機材を所持し挑みましたが、他チームはGrimpdayを研究し、必要最低限の資機材で挑んでいるように見えました。確かに「各資機材を常時搬送する」というGrimpdayにおいて、資機材が少なく軽量であることはメリット。しかし、資機材数が少なければ少ないほど想定によっては苦労することになります。そのバランスを考えた結果があの資機材数なのだろうと感じました。個人装備は多め、チーム装備は少なめ、それが私の印象でした。
そして一番感じた大きな壁は言葉でした。
言葉が理解できないので想定の詳細が理解できない。指摘事項が理解できない。さらには水や食べたいものが買えない、ホテルの部屋の掃除がされないなど、多くの不自由が生じました。通訳さんの補助がなければ、日本チームはもっともっと大変だったろうと強く感じました。
日本初として臨んだGrimpdayで得たことは多くありますが、強く感じたことは「仲間」でした。選手だけでは到底完走することができないのがGrimpday。チームの一員として参加してくれたサポートメンバー、通訳さんの協力がなければ選手は途中で倒れていたかもしれません。選手間の励ましがなければ途中で倒れていたかもしれません。そして、国内の仲間がいなければ、参加すらできませんでした。多くの仲間に支えられ参加でき、そして完走することができました。
今後、参加したチームメンバーが行うべきことは、御支援御協力いただいた仲間達にGrimpdayを通して得た知識や技術を伝達すること。今回得た知識や技術は、日本のロープを使った救助技術の向上へとつながるはずです。世界で広がっているロープを使った救助に関する知識や技術は何だったのか。これを正しく伝達する使命があると感じています。