1秒でも早く要救助者の下へ!! ドア開放勉強会
災害現場において消防隊員の活動を阻むのが「施錠されたドア」だ。近年の住宅建物は快適性を向上させるべく、気密性を高めることで防音や断熱といった性能を実現している。加えて、防犯面の強化として多種多様な錠前の採用が一般化している。こうした建物の構造変化に伴い、消火に対して資機材や戦術の変化が行われているところだ。一方、ドア開放といった要素については、これまで注目されることはほとんどなかった。優れた資機材や戦術があろうとも、ドアを開放しなければ消防活動は始まらない。このシンプルな発想の元、実際にドア開放訓練に長い時間をかけ、成功と失敗を積み重ねてきたのが消防職員有志で作られた「消防活動研究会」だ。火災という進行性災害という点を踏まえ、迅速かつ確実な手法を研究してきた同研究会。平成28年8月には「まるごと1冊ドア開放マニュアル」(東京法令出版)を出版し、現在では勉強会を出張開催している。
6月某日に行われた勉強会では、若手消防職員8名がドア開放について学んだ。解体予定のオフィスビルを借り、そのうち2フロアにあるドアで訓練を行う。王道ともいえる手法が、開口部を作成して手を差し入れ内側から解錠する方法。木製ドアであればバールなどを突き刺して開口部を作成し、鉄製ドアであればエンジンカッターにより切断して小窓を作る。言葉にしてしまうと簡単に聞こえるが、実際に行うにはある程度の知識や技術が必要になる。たとえば鉄製ドアの切断。フルスロットルの切断刃の回転に合わせ切断スピードを調整するのは意外に難しく、食い込みにより回転が止まってしまう。回転を止めないためにはエンジンカッターを正しく保持し、エンジン音を聞き、伝わってくる振動を感じ、切断刃の回転を見るなど全神経を注ぎ、切断スピードを維持する必要があるという。
日常的に遭遇する活動障害を排除する必須スキルとして、現在、急激な広まりを見せている。
消防活動研究会では火災現場における開口部の作成を経験したことがない方へ、非番の時間を使ってボランティアで出張勉強会を行っています。 詳細はLINE lD「syoukatuken」までお問い合わせください。 |
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最新版ドア開放マニュアル!!
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:消防活動研究会
写真・文:木下慎次
参考文献:まるごと1冊ドア開放マニュアル(東京法令出版)