災害時に役に立つ チェーンソー・小型重機講習会

 

平成29年7月九州北部豪雨において、特に被害が大きく、復興に時間を必要としているのが福岡県の中南部に位置する朝倉市。同市において、中長期を考え支援活動を行っている各団体が集う支援活動拠点として誕生したのが「杷木復興支援ベース」。運営する各団体ではそれぞれが持つ技術を活かし、土砂の撤去などの復興支援活動を行っている。そして、同拠点にて行われている注目の取り組みが災害ボランティアのスキルアップ講習会である。
平成29年10月24日・25日の2日に渡り行われたのがチェーンソーと小型重機の講習会。1日目のチェーンソー講習会では安全に使うための知識や技術はもちろん、切断対象となる木について知る・見る・話すといった内容も盛り込まれている。また、土砂と共に流された大量の木々を除去する際は、目立てやチェーンの調整なども頻繁に行わねばならない。そこで、メンテナンスについてもレクチャーが行われた。
2日目に実施された小型重機講習会では、操作方法や特性、注意事項などを学ぶ。重機オペレーター向けの内容に思えるが、これは被災地で行動する者には欠かせない内容といえる。九州北部豪雨は「重機ボランティア元年」と呼ばれるほど、過去に例がない数で重機を活用したボランティア活動が展開されている。つまり、災害ボランティアや地域住民が重機に接近する機会も多いわけだ。講習会を通して重機に関する基礎知識を広めることで、安全を確保しようという狙いもあるのだ。
これら取り組みが被災地という実地にて行われているのもポイントだ。知識や技術を身に着けるだけならどこでもできるが、流木や土砂の除去を被災地で行うことで、復旧につながるのである。

 

杷木復興支援ベースの詳細、ボランティア参加についてはこちらから… https://hakibase.wixsite.com/mysite

 

  • 平成29年10月24日・25日の2日に渡り行われたチェーンソーと小型重機の講習会。
  • 対象物に対し直角に刃をあて、垂直に下す。丸太が両持ちの場合はバーが挟まってしまうことがあるので工夫が必要。
  • 災害現場にある倒木などは表面に土砂が付着しており、これがチェーンソーの刃を痛める。
  • チェーンソーでの切断前に、手斧で切断部の土砂を削ぎ落す。
  • 切れにくくなった場合は専用のやすりを用いて刃を研ぐ。
  • 使用しているとブレードにもバリが出る。それを削り落とす。
  • きちんと目立てが出来ている場合の削りカス。
  • 切れにくくなった状態では削りカスは粉のようになる。
  • チェーンはあまり強く張り過ぎずに手で軽くつまみチェーンが回せるくらいが最適。
  • 切断時に落下や跳ね返りなどが予想される場合は、ロープで固定しておく。
  • 小型重機の講習会。基礎知識や基本操作を学ぶ。
  • 傾斜地の移動方法のレクチャー。
  • 参加者による体験操作。
  • 掘削除去以外にも、障害物の牽引などにも活躍する。
  • 講習で学んだことを踏まえ、ボランティア活動を行う。学びと活動がリンクしているのがこの講習会の特徴。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:朝倉市杷木ベース(災害NGO結・DRT-JAPAN・日本財団・風組関東 他)
レポート:伊木則人
文:木下慎次


初出:2018年04月 Rising 春号 [vol.09] 掲載


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