消防操法2018 強豪チームの操法訓練に密着!
各地で本格的な操法大会に向けた訓練が行われている。県大会での優勝経験が豊富で、過去2回の全国大会への出場経験を持つ広島県の福山市消防団芦田東分団では2月頃より小学校のグラウンドや体育館での体力づくりをスタートし、現在は訓練場で規律や動作を身につける訓練を実施しているところだ。福山市消防団では8月に選手選考会が実施される。この選考会が行われるまでの期間はそれぞれの番手を育てることをテーマに訓練が行われる。芦田東分団でもAとBの2チームが編成され、技術に磨きをかけている。
福山市消防団は団本部の訓練指導員全員が県の指導員に指名されているため、全国大会に向けての訓練も、団本部訓練指導員が指導にあたることができる。訓練に先立ってはまず、その日指導する内容について統一事項などを確認しておく。その間に選手らはストレッチなどをじっくり行う。これもポイントの一つ。長期間の訓練で故障者を出さず、大会にベストな形で出場できるよう基礎体力をつけるため、スポーツトレーナーのアドバイスを受け、体幹トレーニングやストレッチなどを取り入れた身体づくりを行っている。
こうして臨む操法訓練だが、訓練テーマは「正確な規律・動作を身に付けてからのスピードアップである」と、安原勝之分団長は話す。福山市消防団が大切にしている「規律重視のポンプ操法訓練」を実施する中で、全国大会実施要領に沿って、より美しく早い操法を目指すというのが流儀。定位につくまでは規律のキレと間、静と動を明確になるように意識し、「操作はじめ」からは流れるように動きがとまることのないよう意識して実施するそうだ。そして忘れてはならないのが「操法を楽しむ」ということだ。それぞれの立場から全員が操法に打ち込むことで、濃密な連帯感が生まれる。これが地域防災力に存分に活かされているのだ。
ケガをしないように取り組むこと。
1番員は、ホースの展張、結合の正確さがタイムに大きく影響するので、特に意識しています。サポートの方々に展張、結合時に色々な角度から動画を撮ってもらったり、見てもらい、動作のばらつきや無駄がないか確認して、まっすぐにホース展張、一発結合が当たり前にできるよう、タイムロスにつながらないようにと心がけています。
規律動作の正確さと、俊敏な動きを意識して、静と動のメリハリができるよう取り組んでいます。
体調管理に留意しています。
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チームの指揮をとる上で全体の雰囲気を感じ取れるよう、なるべくコミュニケーションをとるように心がけています。最年長者のため、他のメンバーより体力的に劣るところがあり、回数をこなせませんが、1回1回を集中して行動し、なるべく同じミスを繰り返さないようにしています。また、訓練日以外でも1人でできることは自宅等で実施。体のメンテナンスも怠らないようにしています。そして、家族内でも操法の楽しさやしんどさ等の話しをして、自分では見えない部分の指摘や注意をしてもらい、なるべく会話ができるよう心がけています。
ホース展張とホース結合は特に大事なところなので、意識してやっています。ホース展張は、左腕の使い方やホースを投げるときの右手の角度や振り方を意識しています。ホース結合は、重心をできるだけ低くし、オス金具を踏んで結合するときの金具の踏む位置などを意識して訓練しています。どの番員にもいえることですが、日々の生活の中で、操法のことでふと思いついたことは訓練時にやってみる。10思いついて全部だめかもしれません。ただ、そうやって思いついたことをやってみることで、必ず自分が求める操法に辿り着けるのではないかと考えています。
2番員は規律を見られることが多いと思うので、意識しています。控え綱をストレーナーから外し、吸管を持ち上げる動作でタイムロスにならないよう、抜きやすくバラバラにならない収め方、抜いた後にすぐに控え綱の先端が持てるような収め方を毎回心がけています。
自分が使う器具に愛着を持つことを心がけています。3番員なので、ポンプ内部の役割や性能、他のポンプとの違いなどを徹底的に調べあげます。そして、どうすれば最大限性能を引き出せるのかを意識しています。具体的には、放口の開き方、回転数、水圧の増減を意識し、周りでサポートしていただいている方に、毎回確認をとるようにしています。
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本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:福山市消防団/芦田東分団/福山地区消防組合消防局
写真:伊木則人/奥竜也
文:木下慎次
初出:2018年07月 Rising 夏号 [vol.10] 掲載