徳島県土砂・風水害機動支援部隊 実動訓練
今年3月に国内で初めて発足した徳島県の「土砂・風水害機動支援部隊」が、集中豪雨や台風の多くなる出水期を見据え、本格的な実動訓練を実施した。同部隊は徳島県が西日本豪雨災害を教訓とし、県内の13消防本部から選抜された11隊50名で立ち上げたもので、各本部が運用する車両・装備を集結して大規模な土砂災害や風水害に対処するもの。緊急消防援助隊の一部隊と位置付けられており、県内はもとより、国内全域を守備することになる。また、総務省消防庁は徳島県の政策提言を受け、緊援隊の救助体制強化のため、全都道府県に同様の部隊を編成することとした。
5月31日に行われた訓練は、同部隊の参集及び実践的訓練により、迅速な出動及び出動時の連携を強化し、災害対応能力の向上をめざして実施された。徳島県消防学校に各隊が集結すると、仮想被災地となる今切川沿いの親水公園「北島町水辺交流プラザ」へ向け出動。局地的豪雨により中小河川が氾濫し、多数の孤立者が発生したという想定の下、中型水陸両用車(全地形対応車II型)や水陸両用バギー、ウレタンボート、ドローンといった装備を駆使して対岸に取り残されている多数の孤立者の救出が行われた。
同部隊には今後、無線による遠隔操作が可能な重機や、瓦礫が沈んだ浸水域に対応し、車いすなども収容できる高機能救命ボートが総務省消防庁より無償貸与されることになっており、より一層の対応力強化を目指していくという。
取材協力:徳島県/徳島県内消防本部
写真:伊木則人/木下慎次
文:木下慎次
初出:2019年07月 Rising 夏号 [vol.14] 掲載