警視庁 機動隊対抗レスキュー競技大会 2018

 警視庁では昭和47年に機動隊の中に「機動救助隊」を発足させ、技術向上や士気の高揚を目的に昭和56年より「機動隊対抗レスキュー競技大会」を開催。33回目となる大会が、平成30年12月5日に東京都立川市にある総合警備訓練場で開催された。この大会は10ある機動隊の対抗戦という形で実施され、各隊17名、計170名が集結して日頃鍛えぬいた救助の技を競い合った。

 大会では4つの訓練種目が実施される。まず行われるのが登はん競技で、会場にある実際の建物の壁面約18mをロープの摩擦により登る。方法としては登はん員の足にロープを2回巻き付けて行う消防救助操法における「フットロック登はん操法(三)」に相当するもので、登はん員と補助員の呼吸が重要なポイントだ。渡橋競技では警備車両の車上に展張した20mのロープを、往路がモンキー、復路がセーラーにて渡る。

 工作資器材操作競技はチェーンソーやエアソーを使用して木材等を切断、その部材とロープを組み合わせて重量物(丸太)の移動を行うという複合団体種目だ。この想定は過去の現場活動を教訓に組み立てられており、現地にて入手可能な部材やツールを駆使して活動する現場応用力を養うことを目的としている。丸太に結着する際の挟まれ防止用シムを作る際に使用する鋸は、通常の装備品には含まれない現場調達物という位置づけ。また、「新品の刃がついた鋸」と「使用済みの替刃」が用意されており、これらを自由に使うことができる。参加隊員の中には「持ちやすさ」に着目し、あえて柄のついていない「使用済みの替刃」で切断を行う者もいた。このように、「使用済みより新品」「替刃は交換用のもの」といった固定観念を捨てることができるかも試される、奥深い想定となっているのだ。

 災害現場において必要性が強く認識されるようになった重機だが、警視庁では各機動隊で運用がなされている。重機操作競技では災害用パワーショベルのつかみ機を使用し、障害物(タイヤ、三角コーン、丸太)を指定された方法で排除する。この競技では、西日本豪雨災害(平成30年7月豪雨)や北海道胆振東部地震の派遣先で崩れやすい状態となった家屋内の隙間から障害物を除去するといった場面が実際にあったことを踏まえ、狭隘空間からの重量物排除が想定に盛り込まれた。

 直近災害での教訓を反映し、競技種目を適宜見直している機動隊対抗レスキュー競技大会。警視庁では今後も訓練を積み重ね、自然災害に対応できる能力を高めていくことにしている。

  • 警視庁に10ある機動隊から計170名が集結。
  • 開会式の様子。
  • 選手宣誓。

◣◥◣◥ 警視庁の救助体制 ◣◥◣◥


 人命救助活動といえば消防組織のイメージが強いが、大規模自然災害が多発する昨今では警察機関が設置する救助部隊が活動するシーンを目にする機会も多くなっている。また、国際緊急援助隊・救助チームは警察・消防・海上保安庁に所属する隊員により構成されている。このように日本における「人命救助」の重要な役割を担うのが警察の救助部隊である。
 警視庁では、各種災害に迅速に対応するため、警視庁特殊救助隊をはじめ、機動隊に「機動救助隊」「水難救助隊」「山岳救助レンジャー」などを編成しているほか、各警察署にも「警察署救出救助部隊」を編成するなどして、万全の備えを行っている。

登はん競技

登はん員3名、補助員1名によりリレー方式で実施。登はん員の足にロープを2回巻き付け、いわゆる「フットロック登はん」により約18mの壁面を登る。

渡橋競技

5名1チームによりリレー方式で実施。展張された20mロ-プを往路がモンキー、復路がセーラーの2種類の方法で往復する。

  • 警備車両の車上に展張した20mのロープを舞台に実施される渡橋競技。
  • 往路がモンキーで渡る。
  • 20mのロープをモンキーで渡り、すばやくターンする。
  • 復路はセーラーで渡る。
  • 姿勢を立て直し、復路もセーラーで一気に渡りきる。
  • 5名1チームによりリレー方式で実施。

工作資器材操作競技

チェーンソーやエアソーなどの工作資器材を使用して木材等を切断し、その部材とロープを組合わせて重量物の移動を行う複合団体種目。

  • 3名1チームで行われる複合団体種目。1ミッションをクリアするごとに隊員が入れ替わる。
  • まずはシムを作るため木材をチェーンソーで斜めに切断。
  • 鋸によりシムの切り離しを行う。
  • エアソーによりAフレーム用の単管パイプ切断。
  • 切断した単管などもピックアップし、要救助者の元へ走る。
  • 丸太に対し結着を行う。
  • Aフレームに丸太からのロープをセットする。
  • 丸太を移動させて要救助者に接触。
  • 要救助者を舟形担架に収容し、ゴールへ向け走る。

重機操作競技

災害用パワーショベルのつかみ機を使用し、障害物(タイヤ、三角コーン、丸太)を指定された方法で移動。救助活動で求められる繊細な動作を試される。

  • 円陣を組んで気合を入れる参加隊員。
  • タイヤをつかみ、パレットに沿うように移動させる。
  • 三角コーンをつかみ移動させる。
  • スタートと同時にセーフティーバーを10回飛び越え、体力的負荷をかけてから重機に乗り込む。
  • 鉄柵で作られた空間内にある丸太を重機により除去する。
  • 鉄柵に重機のつかみ機が触れぬように慎重に操作を行う。

 


 


第33回大会で見事総合一位となった特科車両隊のみなさん。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:警視庁

写真・レポート:田中香寿美

文:木下慎次


初出:web限定記事

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