鳥取県米子市にある皆生温泉海水浴場は、白砂青松の打ち続く弓ヶ浜半島の根元に位置し、皆生温泉の目前に広がっています。この海水浴場は「日本の水浴場88選」にも選ばれるほど水質が良好で、夏になれば多くの海水浴客で賑わいを見せます。
海開き、そして本格的な海水浴シーズンを前に、皆生温泉海水浴場を守る関係機関が集結し、水難事故合同連携訓練を実施しました。
平成28年7月3日(日)に行われた訓練は、皆生海岸での水難事故を想定し、境海上保安部、米子警察署、鳥取県西部消防局、皆生ライフセービングクラブの連携活動運用図に基づき、事故発生から負傷者を救急車内に収容するまでの一連の活動をブラインド方式により、実戦さながらに行うというもの。平成17年から毎年実施されており、今年は関係機関から約35名が参加。情報伝達及び相互の活動体制の確認整備と、更なる連携強化を図りました。
想定は「米子市皆生市民プール裏付近の海岸に設置された消波ブロック上で釣りをしていた者数名が高波にさらわれ、流された」というもの。第一発見者役の通報により訓練がスタートし、関係機関が直ちに活動を展開します。まずは海岸に常駐する皆生ライフセービングクラブのメンバーが救助に急行。要救助者を直ちに救出します。まもなくして到着した消防・警察部隊は第一発見者、そして救出された者からの情報収集を行うと共に、境港消防署水難救助隊が水没した要救助者の検索と救助にあたります。また、海上保安庁のヘリコプター「みほづる」が救助に参加する予定でしたが、今年は天候の関係で参加せず、境海上保安部陸上支援班のみ訓練に参加しました。
水難救助は時間との戦いであり、目撃者等による情報が迅速な救出の鍵を握ります。関係機関それぞれの能力をフルに活かした活動について再確認が行われ、海開きに備えました。
第一発見者(通行人)役の皆生ライフセービングクラブ員が119番通報を行い訓練開始。 |
海岸の消波ブロックや周辺に、高波でさらわれ数名の姿が確認できる。 |
西部消防指令課からの情報提供を受けた皆生ライフセービングクラブのメンバーが監視小屋などから真っ先に急行する。 |
皆生ライフセービングクラブのジェットスキーが現場に到着。水面を漂う要救助者をレスキュースレッドに収容すると、直ちに岸へ救出する。 |
レスキューボードにより海面から接近した皆生ライフセービングクラブのメンバーが、消波ブロックにもたれるようにしていた要救助者を救出。 |
地上では鳥取県西部広域行政管理組合消防局の部隊や米子警察皆生交番員などが続々集結。指揮本部の設定を行い、情報の集約をはじめる。 |
ジェットスキーにより救出された要救助者がまず地上へ救出される。自身に怪我はなく、自力歩行が可能。救出時に友人が4人いたと答えるが友人の行方はわからない。 |
消波ブロックにもたれるようにしていた要救助者も地上へ。こちらも怪我ははく自力歩行が可能。現場指揮本部まで一旦連れられる。 |
救出された要救助者からの情報収集。4人連れであったことと、1人が沈んでいってしまったと申告があった。 |
境海上保安部陸上支援班が到着。消波ブロック上で身動きが取れなくなっている手振り要救助者を海保ヘリにより救出する旨が決定する。(想定のみ) |
例年は海上保安庁のヘリ 「みほづる」が救出訓練に参加するが、今年は悪天候により不参加となった。(写真は過去の訓練の模様) |
境港水難救助隊も現場に到着し、活動を開始する。 |
皆生ライフセービングクラブと連携し、要救助者が水没前に目撃された地点へジェットスキーにより資機材や人員が投入される。 |
潜水装備を着装した境港水難救助隊の隊員をレスキュースレッドに乗せ、ジェットスキーが走る。 |
ブイを基点に索を張り、隊員が等間隔に並んで環状検索を実施する。 |
水中にて要救助者を発見し、直ちに救出。待機していたジェットスキーにて岸へ搬送が行われる。 |
レスキューボードを担架の代わりとし、直ちに搬送を開始。心臓マッサージが継続される。 |
道路側で待機する救急隊に要救助者が引き継がれる。救急車への車内収容が完了した時点で訓練終了となった。 |
訓練終了後、参加者が集合。鳥取西部消防局警防課長による総評が行われた。 |
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取材協力(写真・情報提供):皆生ライフセービングクラブ
文:Rising編集部