消防・警察・自衛隊合同 防災フェスティバル2024
東京消防庁の第九消防方面本部消防救助機動部隊では施設の一般開放イベントを毎年実施しており、今年は夏休み期間に合わせて2024年8月18日(日)に実施された。また、警察や自衛隊、ライフライン事業者なども参加し、関係機関が合同で実施する「防災フェスティバル2024」として、大規模に開催された。
会場となった東京都八王子市鑓水にある東京消防庁南多摩総合防災施設は、東日本大震災での教訓をもとに2017年に整備されたもので、約5万平方メートルの敷地を有し、各種物資や燃料の備蓄を行うとともに、大規模災害発生時には緊急消防援助隊の受け入れを行い、平時には消防隊の訓練などが可能な総合的な防災拠点となっている。南側一帯がハイパーレスキュー隊の施設、北側一帯が消防隊の訓練施設となっており、今回のイベントでは、この広大なエリアを活用して、働く車の展示、防災体験、訓練展示、採用案内などが実施された。
働く車の展示コーナーでは、ハイパーレスキュー隊が運用する特色ある消防車両の数々に加え、警視庁や陸上自衛隊の車両も展示された。防災体験コーナーでは、まちかど防災車による放水体験や、起震車による地震の揺れ体験が実施された。また、VR防災体験車では、VR映像や動く座席、風などを使って地震などの災害の疑似体験ができ、災害発生時の対応を学ぶ貴重な機会となった。音楽隊演奏では、東京消防庁音楽隊とカラーガーズ隊による華やかなパフォーマンスが行われ、会場の雰囲気を一層盛り上げた。さらに、消防、警察、自衛隊の採用ブースも設置され、夏休み期間中ということもあり、多くの学生たちが説明に耳を傾け、興味津々で情報収集を行う姿が見られた。
イベントの最後には、各機関が参加しての連携訓練が行われた。この訓練では、震災により土砂崩れが発生し、逃げ遅れた2名がいるとの想定で、ハイパーレスキュー隊に加えて、警視庁の特殊救助隊や陸上自衛隊第1施設大隊、ライフライン事業者の東京電力パワーグリッド株式会社が参加した。一般的な訓練であれば、ライフライン訓練と救出救助訓練、救出救助訓練でも機関ごとにサイトを分かれて活動するということが多いが、今回の訓練では1局面に対して現場にいる各機関が一体となって活動する方式が採用された。電線の切断を行った電力会社の小型高所作業車で消防が高所進入を試みたり、消防による流入土砂の排除を自衛隊がサポートしたりと、連携の重要性が強調された訓練が展開された。
イベントが開催される直前の令和6年8月8日には、宮崎県日向灘を震源とする地震(震度6弱)が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された。また、令和6年8月9日には神奈川県西部を震源とする地震(震度5弱)も発生した。さらに、大雨や暴風による影響が大きかった台風第7号が襲来するなど、自然災害の脅威を身近に感じる出来事が続いた。こうしたタイミングだからこそ、防災体験などを通じて備えを見直すといった対策が一層重要であり、人々の防災意識の向上が求められる。このような状況下で行われた本イベントは、災害への備えを促進し、防災力を高めるための貴重な機会となったと言えるだろう。
連携訓練
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:東京消防庁 第九消防方面本部消防救助機動部隊
写真・文:木下慎次
初出:2024年10月 Rising 秋号 [vol.35] 掲載