横浜市消防局 第56期初任教育生 実科査閲
横浜市戸塚区にある横浜市消防訓練センターは、横浜市における消防学校教育実施機関であり、新採用職員への「初任教育」や現場で活動する職員への「現任教育」、消防団員への教育、市民への教育などを行っている。令和6年度に採用された106名(男性95名、女性11名)の新採用職員は、4月1日より同センターに入校し、第56期初任教育生として、消防業務に必要となる基礎的な知識・技術を身につけるための「初任基礎教育」を6か月間にわたり受けてきた。この教育の修了を前に、消防訓練センター所長が教育訓練の成果を確認する「実科査閲」が令和6年9月20日に実施された。
この査閲は初任教育の実施計画に定める「災害想定に基づく到達目標の設定」等の習熟度を確認するため、消防訓練センター所長が査閲を行うもの。また、見学者として初任教育生の家族や翌年度の新採用予定者も招かれ、この日までに鍛え上げた成果を披露した。
査閲では4つの訓練小隊に分かれた初任教育生が教科目別に訓練を担当し、同センターの各訓練場を舞台にツアー形式で訓練が披露された。
開始報告に続き、小訓練場では第1隊と第2隊による「訓練礼式」が行われ、その後、第3隊と第4隊が「防災指導」を実施。見学者に対して消火器や住宅用火災警報器の説明が行われた。舞台を消火訓練場に移し行われた「消防活動基本訓練」は第1隊が担当し、防火衣着装や建物火災を想定した消火救出活動などが繰り広げられた。そして、大訓練場にて行われた第2隊による「救急訓練」では消防隊と救急隊が連携し、傷病者に救命処置を施し医療機関へ搬送するPA連携活動が実施された。補助訓練塔にて第4隊が行ったのは「機器取扱訓練」で、中層建物火災を 想定した消火救出活動を通じて各種消防資機材の取り扱い技術が披露された。最後に、第3隊により実施されたのは「救助訓練」で、訓練塔(A・B・C塔)などを使って、自動車事故救助訓練や高所救出訓練が行われ、ロープ渡過・降下といった進入技術も披露された。
第56期初任教育生は、10月1日から翌年3月31日までの間「初任実務教育」として市内18消防署に配置され、初任基礎教育で習得した基礎的知識・技術を消防署の業務を通じて実践。現場経験を重ね、一人前の消防職員を目指していく。
消防訓練センター所長の加賀谷敦己消防正監は、訓練後の講評で「4月の入校時に比べ、表情に精悍さが増し、消防職員としての内面の成長も著しいものだと感じている」と初任教育生の成長を評価するとともに、「消防署では実際に災害現場に赴くことになる。災害現場には同じものはない。また、訓練でできなかったことは災害現場ではできない。ぜひとも訓練を継続し、素晴らしい消防職員として成長していくことを願っている」とエールを送った。
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:横浜市消防局/横浜市消防訓練センター
写真・文:木下慎次
初出:2025年1月 Rising 冬号 [vol.36] 掲載