カミゴウ消防団 新車両お披露目式

 神奈川県海老名市の上郷(カミゴウ)地区、扇町地区、めぐみ町地区を管轄する海老名市消防団第5分団は、地元の人々から「カミゴウ消防団」の愛称で親しまれている。同団はオリジナルカードの作成・配布や、詰所を使ったイルミネーションイベントの実施などユニークな広報活動を展開しており、地元はもとより、SNSなどを通じて全国的にも広く名前が知られている。

 同団の基幹装備として23年間にわたり活躍してきたポンプ車が引退し、新車両に更新されることにあわせて、カミゴウ消防団では2025年5月18日に「新車両お披露目式」を開催した。お披露目式では、団員により新車両を使用したポンプ車操法が実施され、力強い放水性能が披露された。続いて、新車両の乗車体験や旧車両での放水体験には来場者の長い列ができ、終始にぎわいを見せていた。最後に行われた車両展示では旧車両と新車両が並べられ、新旧2台が並ぶ最後のチャンスを写真に収めようと、地域住民だけでなく各地からも多くの人が集まり、カメラのシャッターを切っていた。

 旧車両は三菱キャンターをベースに製作されており、2002年(平成14年)に配備されたもので、朱色に塗装されたホイールが時代を感じさせる。一方の新車両は、海老名市消防団で唯一のいすゞエルフベース。踏み間違い防止装置や車線逸脱防止装置など安全面が強化されており、各種計器も見やすく操作がしやすい仕様となっている。さらに、収納力も大幅に向上しており、ポンプ室上部や後方ホースカー格納部背面に大容量の積載庫を備えている。

 この日で引退となった旧車両は、海老名市の姉妹都市である北海道登別市に寄贈され、第二の人生を歩むという。多くの人々に見守られながら、新車両と共に新たな歴史を紡ぎ始めたカミゴウ消防団は、これからも変わらぬ情熱で街を守り続けるだろう。

 

  • 地元の有鹿神社からは「パンダ宮司」が駆け付けた。
  • ポンプ車操法の実演。
  • 放水準備を行う団員たち。
  • 新車両の力強い放水性能が披露された。
  • 放水体験コーナーでは標的に向け放水を実施。
  • 大人気の新車両乗車体験コーナー。運転席などに乗り込み記念撮影を楽しんだ。

 

新車両

 

旧車両よりも積載スペースが拡充された新車両。

 

シャッターを備えたパネル部分も増え、ひと回り大きくなった印象を受ける。

 

  • とび口収納は通常は上段を使用し、操法実施の際は下段を使用する。
  • ポンプ室上部には左右貫通式の積載庫を備える。防火装備や反射ベストなどもスッキリおさまる。
  • ホースカー格納部の背面に備えられた大型積載庫には二重巻きホースをまとめて収納。
  • 車両後部に格納されている加納式ホースカー。

 

旧車両

 

旧車両はカミゴウ消防団での任務を終え、北海道登別市の登別市消防団に寄贈された。

 

2002年(平成14年)に配備されたもので、朱色に塗装されたホイールが時代を感じさせる。

 


 

新旧2台のポンプ車を並べての車両展示。車両更新に際して新旧車両が並んで展示されることは珍しく、貴重な機会となった。


 


 

お 知 ら せ
本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。

 


 

取材協力:海老名市消防団 第5分団(神奈川県)

写真・文:木下慎次


初出:2025年10月 Rising 秋号 [vol.39] 掲載

 


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