ポンプ車の部優勝チームが取り組む【3D】消防操法訓練に密着!!
隔年開催の全国消防操法大会で行われる消防操法は、災害対応力に加えて規律面も踏まえた基本訓練と位置づけられている。訓練種目としては消防ポンプ自動車を使用した「ポンプ車操法」と、小型ポンプを使用した「小型ポンプ操法」があり、いずれも前方約60mの位置に置かれた標的を火点として放水を行い、その活動について各隊員の規律、操作要領、行動・操作全般及びホース延長ならびに有効放水の所要時間について審査される。全国ナンバーワンの栄冠を幾度となく手にしている岡山県・和気町消防団第4分団機動部は、その名を知らぬものがいないというほど、強豪チームの代名詞として広く知れ渡っている。
操法を楽しめ!!
和気町消防団第4分団機動部は操法を「楽しむ」ということをモットーとしている。全国的に見ればスパルタ指導や体育会系のノリで操法をやりこむというスタイルが一般的で、同チームでも過去にはそうした手法で訓練を重ねてきた。しかし、こうしたスタイルが仇となり、今から10年ほど前には選手を潰してしまうこともあったという。消防団員であるがゆえに、訓練でケガをしてしまえば仕事や家庭に対し多くの犠牲を負うことになる。なにより、実災害対応にも穴が開いてしまう。
こうした本末転倒な結果を避けるべく、同チームは「日本一訓練を楽しむチーム」へとスタイルをシフトさせた。
負担を排除し全員で支える
団員を潰すくらいなら、順位など落としてしまってもいい。シンプルな考えのもとに、同チームでは日ごろの訓練方法を見直した。大会まで毎日訓練を行っても、選手の負担が少ない方法を模索し、体調管理に徹底留意した。「とにかく選手の体調管理に気を配り、楽しく操法ができる環境を作っている。大変なのは選手。それ以外の者は選手がケガなく打ち込めるように全力でサポートする。頑張っている選手に勝たせてやりたい。だからこそ、出来ることが出来ずに負けるということがあってはならない」(第4分団・中司雅夫分団長)
体調を整えたうえで訓練に集中できるようにスケジューリングを行い、訓練時も操法そのものだけでなく、ストレッチとクールダウンにも時間と手間を割くように心がけている。あらゆる方向から選手の負担を排除し、総員が一致団結して訓練に臨む。消防操法が本来持つチームワークの醸造にも最大の効果が発揮されているのだ。
【3D】操法誕生!!
詳細なタイム計測やビデオ撮影などによる記録検証に加え、車両のさまざまなデータを集計・分析するデータ操法(IT操法)を行ってきた同チーム。さらに、近年では情報分析ツールとして、ドローン(無人航空機)を投入した。大会では観客席としてひな壇が設定されることが多く、一段高い場所から見ることにより、同じ目線では気付かなかった改善点を見つけることがあった。ドローンを使うことで日常訓練において今まで見えなかった改善ポイントを洗い出すことが出来た。こうして、一歩進んだ3D操法が誕生した。
消防操法の常識を打ち破る訓練スタイルは止まることを知らず、日々進化している。
写真・文:RISE取材班