ポンプ車の部優勝チームが取り組む【3D】消防操法訓練に密着!!
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和気町消防団第4分団機動部は選抜チームではなく、気心の知れたいつも通りの分団メンバーで操法に取り組んでいる。全員地元の、近所の仲間であるからこその阿吽の呼吸が活かされているのだ。 訓練の着眼点としては「メリハリを意識している」という。
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一般的には道具を用いた「機械巻き」や、手巻きでも選手以外の者が巻くというパターンが多い。和気町消防団第4分団機動部では、選手自身が自らで手巻きするというのがコダワリだ。 選手本人が自らの展張のフィーリングにあった固さに、自らの手で巻く。また、使用するホースも実戦(活動)用、水出し操法用、カラ操法用で分けており、さらに、どこにどれを用いるかもチョイスして使い分けている。
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和気町消防団第4分団機動部は、操法を楽しむことはもちろん、普段と同じ姿勢で取り組むように心がけている。 操法だから、大会だからと切り替えるのではなく、実践と同様に「異常がないか?」という点で訓練にあたる。 県大会や全国大会などでは長距離移動という違いがある。この場合も、ポンプに異常がないか、真空が上がるかといった基本を気にし、チェックするそうだ。
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訓練は選手の仕事や予定に合わせて週単位でスケジュールを組む。 訓練も10月から県大会が開催される翌年5月までは週3回、夜8時に集合して10時まで訓練を実施。大会本番はゆったりしたスケジューリングで訓練を進めるのに対し、それに向けた日ごろの訓練は内容を詰め込んで行うというように緩急を付けているのも特徴だ。
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指導者それぞれが異なる指導を行えば、選手に迷いが生じてしまう。 こうした事態に陥らないために、指導者は統一した内容で指導するよう心がけているという。 こうした指導面にも効果を発揮しているのが、和気町消防団第4分団機動部が行う「IT操法」だ。 感覚的な指導ではなく、全てのデータを集積し、それをベースに指導を行うことで揺らぎを排除できる。選手ごとのクセ、ホースの投げ方や倒れ方といった部分まで全て統計をとり、数値化して伝えるようにしている。 近年では「3D操法」としてバージョンアップし、ドローンによる空撮映像を用いた「客観的な視線による検討」も採用している。
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1秒縮めるための訓練はハードルも高く、結果として実現が難しい。 細部をしっかり見極め、見つけ出した0.1秒のムダを排除していけば、結果として1秒以上を縮める事ができる。 これも「IT操法」や「3D操法」だからなせる業といえるかもしれない。
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操法訓練で和気町消防団第4分団機動部が重点を置いているのは、意外にもストレッチやクールダウンといった部分だという。 操法を楽しむということは、スポーツ感覚で楽しくやるということ。スポーツにより心と身体の健康を保つように、操法を行っている。 こうした準備・整理運動に時間をかけることで、この時間を活用した訓練の反省や今回の課題の話し合いもじっくり行うことができる。 これもチームを強くする秘策といえるだろう。
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タイム計測やビデオ動画による振り返りは、現在では定番といえるだろう。 和気町消防団第4分団機動部も訓練が終わると機庫に戻り、ビデオを見ながら振り返りを行う。 動画の利点はホースの投げ方はもちろん、身体の動きを一連の流れでチェックできること。また、一時停止やスロー再生により、細かく確認ができる。 一方で、動画で流してしまうと見落としてしまうポイントも、確かにある。 こうした見逃しを回避し、以前のフォームと比較を行うため、ビデオ動画を1コマずつプリントアウトし、それを貼り合わせて分解写真を製作している。
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■車両![]() 和気町消防団第4分団機動部の頼れる相棒であるCD-I。いわゆる消防団仕様でダブル真空ポンプ方式により4秒で揚水が可能。送水技術、中でもポンプ運用に関しては、メーターの動きをビデオで記録し研究しても、わからない部分が多い。そこで、車両から直接データが収集できるように各種センサーを組み込んだ。このデータをパソコンで受信し、送水状態をグラフ化して解析。ポンプ運用の最適化を図ることに成功した。
■ホース![]() 操法訓練用のホース。各番員の好みで使用するマイホース制。様々なタイプが用意されており、各選手のフィーリングと会場のコースに合ったホースを選定する。
![]() 訓練用とは別に用意された実災害用のホース。
■ノズル&管鎗![]() 管鎗はヨネの「スーパーストリーム管そう」で、ノズルは岩崎製作所の「操法用噴霧ノズル V23」を使用している。
■吸管![]() 岡山県大会はカラ操法で行われ、競技は吸管収納まで行う。そこで軽くて柔らかい大阪ゴム製の軽量吸管(写真)を採用している。
![]() 補助員が訓練のたびに水槽に手を入れずに済むよう、吸管を沈めるためのアイテムを自作して活用している。 |
写真・文:RISE取材班