日ごろの操法訓練は、反復訓練を行うことにより安全・迅速・確実な活動と、正確な器具の取り扱いを身に付ける絶好の機会。
そして、気心知れた団員たちの結束や連携をさらに深めるためにも重要な訓練といえます。
こうした訓練の本質を意識し、ムリなく楽しみながら動くことで、和気町消防団第4分団機動部は日々進化を遂げています。
これが重要! 準備運動時間を惜しまない
準備運動にじっくりと時間をかけるのが和気町消防団第4分団機動部のスタイル。
朝イチの訓練ではまず身体を目覚めさせるため、体操やストレッチを入念に行う。そして、身体が目覚めたらウォーキングを行う。この際、規律の訓練要素も織り交ぜているのがポイントだ。
体が温まってきたら、少しずつランニングを入れていく。ここまで3~40分間。充分に時間をかけて身体をほぐす。
選手以外は訓練を全力サポート!
ポンプ操法のルールに従い、水利となる防火水槽など距離を正確に測ってセットしていく。
ポンプ車操法の基準となるのが車両中心線。この中心線に車両のセンター合わせをあわせるための治具を自作している。T字の金具をナンバープレート部分にセットして、容易に車両を定位に誘導できるようにしている。フロントだけでなくリアにも同様の治具をセットしてセンター合わせを行う。ちなみにナンバープレートの数字は目標タイムを示しており、第一線48秒、第二線58秒を意味している。
ウォーミングアップを兼ねた個別練習
まずは各自、個別にホース展張訓練を行う。ひたすら展張と巻きを繰り返すことで、自分のコンディションも把握できる。
選手は自分が展張したホースを自分で巻く。
自分のホースは自らが手で巻く。ホースもキツく締まった二重巻きがベターということはなく、「中が固めで外は緩め」といった緩急をつけることで自分の投げ方に絶妙にマッチさせる必要がある。そこで、巻いては投げを繰り返し、最適な固さを探しながら調整する。
ホースの展張。この時注意しているのはホースの転がり方。そしてスピードではなくフォームに意識している。
巻き方と展張がマッチしたら、余裕ホースをとる動作などを確認。このように、徐々に先へ進んでいくイメージ。
4番員は乗車と降車を繰り返す。各員の「暖機運転」が済んだところで、前回の訓練での注意点、選手ごとの傾向を指導者と再確認する。選手はそれに注意して本日の訓練に当たる。
通し訓練はカラ操法から!
指揮者が集合指揮位置に移動し「集まれ」と号令。これを受けて、各員は集合線上に集合する。規律訓練として休めの幅も一人ひとり測られ、細かく指導される。
各番員との距離やかかとの芯からかかとの芯までの距離を簡単に図れるツールを自作している。
いよいよ連携を確認するための通し訓練がスタートする。まずは水は出さず、カラ操法で実施により全体の動きをあわせていく。
通しの訓練が終わるごとに、吸管の確保ロープも丁寧に巻かれる。
過去データと現状データとの比較分析。すべてのデータがファイリングされており、見比べながら修正・改善を行う。
水出し通し訓練
数本のカラ操法を経て、いよいよ水出し通し訓練のスタート。 「岡山県和気町消防団、ただいまからポンプ車操法を開始します!」 指揮者の開始報告が響き渡る。
「乗車!」 の号令で各員が手すり等を握って乗車する。
下車するとそれぞれがすばやい動作で車両の周りを動き回る。 1線目のホースを延長する中、吸管の設定が行われる。
1番員が第3 ホースを左肩に載せ、火点に向かいダッシュ。上空ではドローンが鳥の目で選手の動作を記録する。
1番員は第1+第2 ホースの 延長距離を考慮して前進し、第3 ホース延長地点に到達。すかさずホースを展張する。
筒先を結合し、余裕ホースをとる。メガネ、カミ、キンク、カンヌキとならないような投げ方が徹底的に指導されている。
瞬く間に1線目の延長完了。 2線目設定のため、2番員と3番員が猛ダッシュで車両に戻る。
2番員と3番員が、2線目を設定しながら猛スピードで火点側へと戻ってくる。
ビデオでの記録と時間計測を実施。今の時間が遅いか早いかはタイムリーに選手に伝えられる。
第2 線目からも水が放たれ、見事に初弾で火点を叩いた。 指揮者は火点監視の姿勢から1番員の方向に向きを変え、「放水止め」と号令をかける。
3番員が伝令停止線内の位置まで至り、右手を横水平にあげ「放水止め」と伝達。 4番員も同じ姿勢で復唱する。
水出し操法実施後は、分団長私物のコンプレッサーでホース内の水を抜く。
整理体操も入念に
訓練終了時にはクールダウンのためストレッチが行われる。じっくり時間をかけて行うことで、 選手の健康・体調管理を徹底している。
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写真・文:RISE取材班