第4回渋消式火災防ぎょ勉強会[群馬県]

 

消火分野に関する勉強会の代名詞として知られる渋消式火災防ぎょ勉強会が、群馬県消防学校を会場として開催された。第4回となる今回は北は青森から南は沖縄まで、全国78消防本部から約170名の消防人が集結。1日目の座学、2日目の実技訓練で「渋消式」を学んだ。渋川広域消防本部が生み出した渋消式火災防ぎょ戦術は、あらゆる「時短」にこだわって「出動から6分30秒以内に2口以上の放水を始める」ことをテーマとしており、吸管伸長やホース延長といった細部にわたって研究を重ねている。中でも有名なのがホース延長要領。少人数での迅速なホース延長を実現するため、独自のホースバッグも開発している。

 

火災防ぎょを多角的に学べる

一般的な火災防ぎょ戦術が消火の部分に着目した内容になっているのに対し、渋消式の場合はその前段階、出場段階の装備着装はもちろん、日常の業務スタイルなど、幅広い視野で時短を目指しているのが特徴といえる。そして勉強会では、消防力の整備指針や、それに基づく一般住宅火災の対応全般について、渋川広域消防本部が研究した内容などを集まった消防職員と一緒に学ぼうというのが基本スタンス。つまり、消防の基幹活動といえる火災防ぎょに関して多角的に学べるのが特徴であり、国内でもあまり行われていない取り組みといえる。だからこそ、他本部の職員にとっても業務のヒントが多く詰まっており、参加希望者が殺到していると言うわけなのだ。

 

積み重ねがよりよい活動を実現する

この勉強会は火災防ぎょ戦術をテーマとしているが、実技訓練では火点に向かっての放水といった想定訓練は行われず、ひたすらホース延長などを繰り返す。ホースバッグを降ろす動作がスムーズに行かないと、その先の延長もうまくいかない。さらに、迅速な延長を行うためのバッグへのホース収納も正確に行わなければならない。単純にして地味ではあるが、こうした積み重ねが安全・迅速・確実な現場活動を実現するのである。

 

常に進化を続ける

常に進化を続ける渋消式。その勉強会も、毎回新たな要素が加わっている。第4回勉強会では、新たにホース増強(ストップバルブの必要性)が加わった。ガンタイプノズルや小口径ホースを活用している場合、ノズルとホースの間にストップバルブを挟んでおくという方式がある。ストップバルブで水を一旦止め、その先にホースを増強するというように、筒先側のみの作業ですぐさま対応できるのが特徴。近年では常套手段として浸透しつつあり、渋消でも採用している。当たり前と思っていたこの方式だが、これまでの勉強会などにおいて、毎回参加者が質問してくる。そこで、今回はホース増強についてあらかじめ項目に付加したということなのだ。

 

共に学び、共に育てる

渋川広域消防本部では全国の消防職員と共に学ぶ中で、新たな発見を得ているという。この発見を元に検討を進め、次の勉強会などで再発信するという内容も少なくない。全国の消防職員と共に学び、共に育てている戦術、そして活動スタイル。「渋消式」にはそんな側面もあるのである。

 

 

 

 

参考動画

 

 

 

 

本家!渋川消防が公開する動画集!!

渋消式火災防ぎょ戦術動画集渋川広域消防本部では、ホームページにおいて「渋消式火災防ぎょ戦術」の動画集を公開している。資料などではわかりにくいスピード感も含めた動きを学ぶには最高の教材といえる。

 

渋消式火災防ぎょ戦術動画集はこちらから
 

 

 

 

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本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:渋川広域消防本部[群馬県]

写真・文:木下慎次


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