横浜市西消防団 ─車両事故救出訓練─

 

去る平成29年2月19日、横浜市西消防団では廃車予定の自動車を使用し、救助用資機材をフル活用して実施する本格的な車両事故救出訓練を行った。今回で5回目となるこの訓練は「大規模災害発生時に消防団でも救助活動が出来るように」との現場団員の声からスタートしたもの。西消防署浅間町特別救助隊が「教官」となり、実戦をイメージした訓練を行っている。
訓練は地震による交通事故をイメージし、建物外壁と事故車両の間に挟まれた要救助者、事故車両の下敷きとなった要救助者、事故車両内部に閉じ込められた要救助者などを消防団保有の救助用資機材を駆使して救出する。訓練では消防団震災対策用高度資機材として昨年度配備された油圧式救助器具や可搬式ウインチが活用され、団員らは分団毎に想定にチャレンジする。車両下からの要救助者救出では、団員らは現着すると直ちに周囲の状況を確認し、車両の安全固定を実施。油圧式救助器具により車体を持ち上げると、西消防団が独自に整備するバックボードを活用して要救助者を引き出す。日頃の訓練量が容易に想像できる、スムーズにして的確な活動だ。
今回の訓練では要救助者へのアクセス方法として、ガラス破壊についても体験が行われた。自動車用窓ガラスの種類やその破壊方法、実施時の注意点などが説明されると、実際に破壊に挑戦する。破壊方法はもちろん、割れたガラス片の飛散防止などについても注意深く観察していた。
この訓練は状況に応じて臨機応変に最適な資機材を正しく使用して活動するのはもちろん、指揮能力や安全管理能力も試される総合的な効果確認要素も含んでいる。日頃の訓練成果を発揮すると共に、更なる知識や技術の吸収を図ろうと、団員たちは時間の限り訓練に取り組んでいた。

 

  • 可搬式ウインチを用いた事故車両けん引の訓練。
  • 指揮者の的確な指示の元、要救助者に対するCPRや挟まれの解除などが並行して行われる。
  • バックボードを活用して要救助者を救出する。
  • 各想定終了後には特別救助隊からアドバイスが送られる。
  • 手動式大型油圧救助器具により事故車両のドア開放を実施。
  • 車両内に進入し、閉じ込められた要救助者へ接触を図る。
  • 応急手当指導員としての知識も活かし応急手当や搬送準備を行う。
  • ガラス破壊の体験訓練。使用資機材別の特性なども学ぶ。
  • フロントガラスの切断除去。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:横浜市西消防団/横浜市西消防署

写真・文:木下慎次


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