地上80mから降下進入!! ゴンドラ救助救出訓練

 

地上80m部分から進入し、地上40m部分にいる要救助者を救出する。

平成29年8月28日と30日の2日、横浜市鶴見区にある市資源循環局鶴見工場において、高所からの救出訓練が行われた。この訓練は前年から、救助隊員の安全管理能力の向上と強化を目的に行われているもので、地上約130m、ビル40階に相当する高さの煙突頂上から約30m下の踊り場まで座席降下する訓練が行われていた。この訓練直後に、訓練に使用した煙突において台風に伴う強風による影響で作業員を乗せたゴンドラが降下できなくなるトラブルが発生し、実際の救助活動が展開された。こうした経緯をふまえ、今年は高層マンション火災や作業用ゴンドラ等における事故を想定し、地上高80mの高所からの救出訓練として実施された。

訓練は清掃中の作業員1名を乗せたゴンドラが何らかの機械トラブルにより地上40m部分で停止し、作業員が取り残されたとの想定のもと、地上約80mにある上部進入口から救助ロープを使用して約40m下の救助地点まで降下し、その後、取り残された要救助者を地上まで救出するというもの。また、活動中の風は弱く、ゴンドラ専門の点検業者が確認するも、ゴンドラ自体の落下危険は少ないが、復旧までにはかなりの時間を要すること、作業員に外傷はないが少し脱水気味であることが確認されている。

訓練には鶴見消防署末吉特別救助隊のほか、特別高度救助部隊など計5隊が参加。先着隊と後着隊の2隊により活動を行う。この訓練は先着隊と後着隊の連携、上部進入口となる地上約80m部分と要救助者がいる地上約40m部分、そして救出を行う地上の3局面の意思疎通がポイントになる。こうした点を確認するように、隊員らは真剣な面持ちで訓練に臨んでいた。

 

  • 訓練に使用された横浜市鶴見区にある市資源循環局鶴見工場の大煙突。
  • 現着したところから想定開始。約80mの高さまで階段をひたすら上る。
  • 使用されていない煙突を支点に活用。
  • 上部進入口から降下進入を図るべく準備を行う。
  • 縛着用資機材や誘導ロープなどを携行し、隊員が進入を図る。
  • 地上80m部分から進入し、要救助者に接触。縛着や誘導ロープの設定を行う。
  • 地上40m部分で要救助者と接触。そして救出を行う地上へ救出する。
  • 後着隊隊員の支援を受け、地上への救出が完了する。
  • この訓練を実施した救助隊の皆さん。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:横浜市消防局 鶴見消防署

写真・文:木下慎次


初出:2018年01月 Rising 冬号 [vol.08] 掲載


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