資機材を極める 三連はしご×座間市消防本部
神奈川県の座間市消防本部では救助基本操法や資機材の諸元性能などを徹底的に理解し、その上で、安全・確実・迅速な基本的活動の「その先」を目指すため研究に余念がない。例えば三連はしご。取り扱いの基礎のキソといえる75度架梯に着目し、新人であっても確実に実施でき、隊長が一目で安全確認できる仕組みとして、側面の取手付近に目印を設けた。また、三連はしごを用いた活動を進化させるべく「誘導線」の活用を行う。これは確保ロープなどとは一線を画した手法で、架梯前に先端部へロープを1本通しておくというシンプルなもの。近年になって三連はしごによる高所進入時の自己確保が注目されているが、進入時に一端を進入隊員につなぎ、もう一端で確保を行うことで容易に安全を確保することができる。他にも資機材確保や救助ロープ、確保ロープとしてもマルチに活用できる優れものだ。また、三連はしごを最大限に活用した救出法も考えた。上階にいる脱力状態の要救助者を救出する際、窓やベランダの柵といった1mほどの障害をいかにクリアするかが課題となる。座間消防が編み出した火災救助法「かち上げ救助」では、三連はしご基底部を後退させることで先端部の位置を低くし、誘導線に要救助者を接続。その後常架梯角度まで起こすことで要救助者のリフトが完了する。
資機材そのものの改良や使い方のちょっとした工夫、これらを組み合わせ、活動の最適化が行われているのだ。
取材協力:座間市消防本部 [神奈川県]
写真・文:木下慎次
初出:2018年10月 Rising 秋号 [vol.11] 掲載