警察署の災害への対処能力を高めろ!! 警視庁・警察署対抗レスキュー競技大会
警視庁では警察署の災害対処能力向上を図るべく、警察署対抗レスキュー競技大会を実施。都内に97ある警察署のうち予選を勝ち抜いた11の警察署からおよそ100名の警察官が集結し、技術を競った。
競技は、女性警察官を含む1チーム6名がリレー方式で挑戦。風水害や土砂災害などをイメージしており、要救助者の救出に至るまでに用意されたミッションをクリアしなければならない。まず、土嚢作成では用意された土を土嚢袋に収めて土嚢を作るのだが、競技後に入れられた土の量が規定量に達しているかチェックされる。その後、別に用意された15袋の土嚢を徒手や一輪車にて搬送。指定の位置に積み上げる。この際、口が上から見えないように=下側に巻き込むように設定しなければならない。
また、臨機応変な対応力を求める想定として、不安定足場への対応がある。現場で調達したコンパネ2枚をトラロープを使ってつなぎ、簡易的な仮設橋を設定するというものだが、競技に使用されているレスキューキットには「穴をあけるため」のツールはない。そこで、破壊斧のピック部分など「穴があけられそう」なツールを活用して穿孔するなどのアイデアが必要になる。
こうして様々な障害を突破して要救助者を救出し、ゴール地点まで搬送して終了となる。この大会で試されるスキルは専門的なものは含まず、基本的な内容にこだわっている。最大の目的は一人でも多くの人命を救うこと。そこで、警察官が災害発生時にその場にあるもので対応できることはもちろん、シンプルさを追求することで地域住民と連携しての対応が可能になるからだ。
競技大会方式で実戦的行動を身に着けることができるこの訓練。消防団や自主防災組織などの訓練の参考になる内容といえるだろう。
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:警視庁
写真・文:木下慎次
初出:2018年10月 Rising 秋号 [vol.11] 掲載