東京消防庁 統合機動部隊運用開始式
ラグビーワールドカップ開催を控え、東京2020大会(オリンピック・パラリンピック)も来年に迫るなか、東京ではテロ災害発生のおそれが高まっている。こうした背景をもとに、東京消防庁では新たな取り組みとして「統合機動部隊」の運用を開始。平成31年4月20日(土)に東京消防庁消防学校において運用開始式と訓練披露が行われた。
統合機動部隊とは大規模災害発生時に多数の傷者を迅速に救出するために、東京消防庁の消防車両等を結集し、万全な活動体制と即応体制を確保するために整備された部隊。実働部隊としては第二・三・六・八・九消防方面本部に置かれる消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー隊)や航空消防救助機動部隊(エアハイパーレスキュー)、救急機動部隊等が活動にあたる。
また、統合機動部隊の中核となり、大規模災害における統合指揮を執る統合指揮隊が新設。統合機動部隊長として東京消防庁警防担当理事(消防司監)が現場指揮を執る。統合指揮隊の専用車両としては各種通信機器等が設置され、作戦スペース等の拠点スペースが設けられたコマンドカーが配備され、同車の活用により部隊運用や指揮機能を最大限発揮した活動を実現している。
式典に続き実施された訓練披露では、スクランブル交差点の中央に爆発物が仕込まれたキャリーバッグが置かれ爆発する「爆破テロ」が起きたという想定で行われ、統合機動部隊の活動が繰り広げられた。
統合指揮隊のコマンドカーは現場に到着するとポールカメラを展開し、360度見ることができるカメラ映像により現場を確認。他にも消防技術安全所のドローンや活動隊員が装着した映像位置情報共有装置の発信装置から得られる映像情報などを駆使し、現場の状況を的確に把握して統合機動部隊長による部隊指揮が行われた。
また、こうした爆発事案ではダーティーボムなどの使用が疑われるため、活動に際しては検知活動が不可欠となる。第三消防方面本部消防救助機動部隊の隊員らが各種検知器を活用し素早く環境測定を実施し、化学剤や放射性物質の有無を確認。同時に、東京消防庁が新たに導入した爆発物対応が可能な救出救助車による救出活動が行われた。
救出された負傷者に対応するのが救急機動部隊。第二消防方面本部消防救助機動部隊に配備されたスーパーアンビュランスを救護所とし、トリアージや応急処置などを実施した。
このように、テロ災害等に対し複数部隊が連携して事態に対処するというのが統合機動部隊のコンセプト。同隊はテロ災害対応の訓練を繰り返すとともに、他の大規模災害にも投入されることになる。
訓練披露
あわせてご覧いただきたい関連記事
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力:東京消防庁
写真・文:木下慎次
初出:web限定記事