注目の消防車両 CLOSE-UP! 新型救急車 C-CABIN コンセプト

 広い患者室、乗員保護のための全席3点式シートベルト化、積載物の固定、電動ストレッチャーの採用といった海外のスタンダードは、独自の進化を歩んできた日本の救急車の場合すぐに取り込むことが出来ず、日本での普及は進まずにいた。こうした中、現場からの強い要望に応える形で株式会社ベルリングが量産型救急車の開発をスタート。コンセプトカーが完成し、2020年11月18日に新型救急車「C-CABIN」が報道公開された。

 同車は名前の通りC型に拡張したボディが特徴で、患者室の天井から右側面を切り取り、FRP(繊維強化プラスチック)パーツに変更。これにより車内空間を広げることで、隊員がストレッチャーの左右について処置を行える。また、患者室のシートも注目だ。メディカルシートは3点式シートベルトを備えた独立式を採用し、180度旋回するので出場・帰署時は前向きで着座でき、運転室との意思疎通がしやすくなる。付き添いシートも独立式を採用。3点式シートベルトによりしっかりホールドでき、背もたれがあるため、振動で頭をぶつけるといったトラブルも防止できる。また、90度旋回やリクライニング機能を備えるので、長距離搬送時の同乗者負担軽減にも効果が期待できる。いずれも座面は跳ね上げ可能だ。さらに、女性隊員の活躍の可能性を広げるべく、徹底的な重量・コスト削減を図り、電動ストレッチャーの搭載を前提に開発されているのも特徴といえる。

 これまで不可能とされていたこれら仕様を網羅できたのも、ゼロからの設計で構造や重量バランスなどを配慮して作ることが出来たからこそ。今後はこのコンセプトカーを元に現場の意見をさらにフィードバックさせ、2022年の量産化を目指すという。

 

日常の運用にちょうどいいサイズで患者室空間を最大限に確保できる事からトヨタ・ハイエースバンをベースに採用。

 


患者室の天井から右側面を切り取りFRP(繊維強化プラスチック)パーツに変更するという大胆な改造がなされるが、車体剛性はベース車同等を実現している。

 


後部から側面にかけてカバーするビルトイン型警光灯を装備(写真左)。迫り出し部分の下方は周辺作業灯を内蔵(写真右)。

 


医療機器や救急バッグ等を壁面のレールシステムに固定することが出来る。

 


独立型の付き添いシートは3点式シートベルトと大きな背もたれで同乗者をしっかりガード(写真左)。45度に設定すると足元も広くなりさらに負担を軽減可能(写真中)。前向きにすれば乗り物酔いしやすい人も安心(写真右)。

 


メディカルシートも3点式ベルトを採用(写真左)。前向きにすれば隊員乗車席としても活躍。運転席にも近いため、意思疎通を図りやすくなる(写真右)。

 


感染症対策として透明隔壁を装備(写真左)。天井全周をフォローする握りパイプ(写真右)。

 


電動ストレッチャー搭載を前提とし、最適なモデルを新たに輸入して採用した。

 

SPEC DATA
車名トヨタ
通称名ハイエースバン
シャーシ型式CBF-TRH226K
室内寸法:長3370mm(患者室部分のみ)
室内寸法:幅1730mm
室内寸法:高1820mm
最小回転半径6.3m
乗車定員8名
総排気量2693cc
駆動方式2WD / 4WD
艤装メーカー株式会社ベルリング

 

 


 

お 知 ら せ
本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。

 


 

取材協力:株式会社ベルリング

写真・文:木下慎次


初出:2021年1月 Rising 冬号 [vol.20] 掲載


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