深入山の山焼き 警戒活動 2022

 広島県山県郡安芸太田町にある「深入山(しんにゅうざん)」は、西中国山地国定公園に指定された三段峡の東にそびえる標高1153mのなだらかな草原の山。山野草や山菜の宝庫であり、四季折々の草花を観ながら1時間ほどで登ることができ、山頂では西中国山地の山々が360度の大パノラマが広がる。

 深入山は山全体が柔らかな草原に覆われた美しい山であり、約100haの草原を焼き払う山焼きは1749年から始まったといわれる。古くはワラビ山や肥草山として利用するために山焼きが行われ、生活様式が変わった現代では、その様子が壮観なことから芸北地方に春の到来を告げる一つの伝統行事として定着している。

 毎年、山に積もった雪が溶けきる春先に山焼きが実施されてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年と2021年は中止となり、2022年4月10日に実に3年ぶりに山焼きが開催された。

 山焼きは安芸太田町が実施し、地元の人々や安芸太田町消防団、安佐北消防署の全面支援により、厳重な安全管理のもとに実施されている。警戒活動を行う安芸太田町消防団では約100名の団員が集結し、4班に分かれて警戒活動を実施。午前11時すぎに点火されると、約100haの山の斜面を炎が覆った。

 火入れをする区画の外周にはあらかじめ防火帯が設定されており、そのエリア内で計画的に山焼きは行われる。炎が防火帯まで到達すると、待ち構える消防団員らが背負い式水のうなどで完全に消火していく。今回の警戒活動にあたり、安芸太田町消防団では新たにゲル消火剤を採用。これは背負い式水のうの水に混ぜて使用する食用の増粘ゲル化剤をベースにした粉末の消火剤。水のままでは流動性が高いため傾斜地や立木に注水しても多くが流れ落ち、地面に吸収されてしまう。そこでゲル化させることで対象物へ付着しやすくし、燃焼物を覆うことによる窒息効果と冷却効果を高める効果がある。また、今回の警戒では女性消防団員が操縦するドローンも投入。上空よりリアルタイムで状況を確認し、活動をサポートした。

 今回の山焼きは例年に比べ乾燥していたことから、安芸太田町消防団も細心の注意を払い警戒を実施。消火剤やドローンといった新たなアイテムを有効活用し、無事に終了することができた。山焼きを終えた深入山では、来月頃には新芽が芽吹きはじめ、再び緑の美しい山へと姿を戻す。

 

 

 


 

投稿:安芸太田町消防団


初出:web限定記事

 


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