三原市消防本部 水難救助訓練


 広島県の三原市消防本部では、海辺を管轄する三原消防署に潜水隊を配置し、水難救助に備えて定期的に訓練を実施している。令和4年3月17日に三原市須波西の須波港で行われた訓練は、海中に沈んだ要救助者の捜索救助を行う潜水隊に加え、現場の情報を集約して指揮支援を行う指揮隊、海上から地上への救出を行う救助隊との連携をテーマに、17名が参加した。また、今回の訓練では初の試みとして小型無人機「ドローン」による上空偵察を試行。三原市が保有する機体1機を借用し、上空から要救助者の捜索や安全監視などを実施。その有効性を検証した。

 訓練想定は堤防で釣りをしていた男性2名のうち1名が海に転落。もう1名が助けに飛び込むが2名とも溺れて行方不明となった。また、救助工作車は海側へ最接近できないというもの。

 現場にて通報者から最後に要救助者の姿を見たポイントを確認すると、各隊がそれぞれの活動を開始する。潜水隊が入水準備を行う間に、指揮隊が先行して、捜索エリア上空に向けドローンを発進させる。現場指揮本部のモニターに映し出されたリアルタイム映像にて要救助者らしき人影を確認すると、潜水隊にその情報が送られる。潜水隊はそのドローンを目印に進み、水深約8mの海底から要救助者役の隊員を救出。陸上にて準備を進めていた救助隊との連携により地上へと救出が行われた。

 ドローンを活用することで要救助者の早期発見が期待できるのはもちろんのこと、地上部隊がリアルタイムで潜水隊の活動を把握できることで連携を加速できるというメリットも得られる。今回の訓練結果をもとに、三原消防署では水難救助対応のさらなる強化を目指していくこととしている。

 

 

  • 目撃情報をもとにドローンを発進させる。
  • 現場指揮本部ではモニターにてリアルタイム映像で状況を確認。
  • 潜水隊は準備が済むとすぐさま入水。
  • 目撃地点で潜水を開始する。
  • 陸上では救助隊が救出準備を進める。
  • 水中から救出した要救助者を搬送し救助隊と連携して浮き桟橋へ引き揚げる。
  • 2人目も水中からの救出に成功。要救助者を岸壁に向け搬送する。
  • 岸壁まで搬送してバスケット担架へ収容。
  • 救助用三脚などを活用し、高低差のある地上面まで一気に引き揚げる。

 


 

取材協力:三原市消防本部/三原消防署

写真:伊木則人

文:木下慎次


初出:2022年7月 Rising 夏号 [vol.26] 掲載

 


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