令和4年春季消防大実戦訓練
火災予防思想を広めることで火災の発生を防ぎ、発生してしまっても被害を最小限にとどめ、火災から尊い命と貴重な財産を守ることを目的として、毎年春と秋に実施されている「火災予防運動」。広島県の三原市消防本部と三原市消防団ではこの運動の一環として、消防大実戦訓練を実施している。令和4年3月5日に実施された今回の春季消防大実戦訓練は大規模な林野火災を想定し、消防技術の向上と防災に対する意識の高揚を図ることを目的として実施。三原消防署と三原市消防団(三原南方面隊)が連携し、実戦同様の活動が展開された。
瀬戸内海髄一の眺望と言われる瀬戸内海国立公園の竜王山(りゅうおうざん)には三原市幸崎町久和喜から山頂までを結ぶ総延長4.6㎞の「竜王みはらしライン」が整備されており、道中には景色を眺めることができる5ヶ所の展望スペース(展望場)が設置されている。訓練はこの竜王みはらしライン西側山林から出火し南西の風に煽られ延焼拡大したと想定し、第2展望場から第3展望場にかけて消防署隊及び消防団隊が中継送水と放水防ぎょを実施。また、第3展望場で発生した負傷者を救急搬送するというもの。
訓練開始とともに参加車両が竜王みはらしラインを駆け上がる。麓寄りの第2展望場に現場指揮本部が設定され、消防隊が簡易貯水槽に水利部署して送水を実施。消防団隊は車両をそのまま前進させ、第3展望場までの道路上に適宜間隔をあけて部署し、可搬ポンプを設定するとともにホースを延長。第2展望場から送られてくる水を第3展望場まで中継した。水は第3展望場の簡易貯水槽に一旦蓄えられ、可搬ポンプにより放水が行われた。
訓練では消防職団員らが連携を取りながら迅速に活動を展開。活動技術を再確認すべく真剣な眼差しで訓練に取り組んでいた。
取材協力:三原市消防本部/三原消防署
写真:三原市消防本部/Rising取材班
文:木下慎次
初出:2022年7月 Rising 夏号 [vol.26] 掲載