注目の消防車両 CLOSE-UP! HS-WideCabin

救助工作車の要望として挙げられることが多いのが「広いキャビン」。一方で、キャビンを広くとれば、その分積載スペースが狭くなったり、車両が長くなったりするという課題があった。この難しい課題に対する一つの答えとしてテイセンが開発したのが「HSワイドキャビン」だ。一見すると従来のHS型に新デザインのハイルーフが載っただけに見えるが、「広いキャビン」と「十分な積載スペース」を両立するために細部にこだわり抜いた改良が施されているのが特徴だ。
まず、後席足元空間が1000㎜確保されており、従来仕様より300㎜ほど拡張されている。これにより、広域応援時の長距離移動における隊員の疲労軽減や、車内での防護服着装による現着後の迅速な活動開始を可能としている。もちろん「キャビンスペースを拡げながら、車両全長は最小限に」というのがテーマ。積載庫側に張り出すキャビン背面の空気呼吸器収容部などをうまく逃がすことで、車両全長は従来仕様と同等、積載庫の長さは50㎜ほどの短縮に抑えており、積載性に対する影響を回避している。
キャビンの改良としては乗降用のドアにも注目だ。車内で防護服を着装すると、ドアが開き切らないため乗降しにくいというネックがあるが、ヒンジ部を改良することで約90度まで開放が可能に。これにより、完全防火着装時の乗降も格段にしやすくなっている。
そして新型ハイルーフは後部ドア上まで続くビルトイン大型警光灯を搭載することで、交差点進入時などの横方向に対する注意喚起を強化。また、ドアやフロントウインチ上部に作業灯を備えることで、乗降や活動時の安全確保にも寄与している。

2025年にデビューしたHSワイドキャビンの2号車がTRES会場で展示された。

キャビンスペースを拡げながら車両全長は従来仕様と同等となるよう設計されている。

新型ハイルーフ。正面の警光灯下にはスピーカーユニットなどが備えられている。

ルーフを前方に張り出す形状とし、ウインチ周辺の作業灯を装備。

後席ドア上部にも作業灯を装備し、乗降時の安全を確保。

後席足元空間は1000mm確保されている(写真左)。キャブと積載庫が干渉しないよう設計し、それぞれの空間を最大限に確保(写真右)。

運転席上部にはワーニングモニターを装備している。

ヒンジの改良によりドア開口が最大限活用できるよう配慮されている。

積載庫は50mm程度短くなったが、十分な積載性が確保されている。

チェーンソーなどのツールは引き出し式収納に積載。

縞板ボックスはフック機構を備え、引き出しのように扱うことができる。

シャッター巻取り部のデッドスペースを活用した長尺収納庫。車両後方からアクセスできる。

照明装置。

クレーン。

リアウインチ。

車両と共に展示されていたのがアイスバーン用敷板カバー。クレーンアウトリガーの敷板に装着できるスパイクで、凍結した路面でもホールド性を確保できる。

| お 知 ら せ |
| 本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。 また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
取材協力:帝国繊維株式会社
写真・文:木下慎次
初出:2026年1月 Rising 冬号 [vol.40] 掲載
(※この記事はRising掲載記事を補完したWeb完全版です)

















