注目の消防車両 CLOSE-UP! 救助工作車 II型

この車両の製作を担当した安永秋徳消防司令補。

各地で急増中のバス型救助工作車。平成28年度も多く製作されたが、その中で特徴的な仕様で注目されるのが福岡県・中間市消防本部が製作したこの車両だ。同車最大の特徴がクレーンをあえて非搭載としている点。管轄地域を守備するにあたり求められる性能や積載物に対し優先順位を付け、緻密に仕様を検討。その結果、クレーンを非搭載とし、その他の性能を実現している。シンプルなところでは車上活動スペースの確保と三連はしごの収納。同車では積載部屋根上をフラット化し、耐荷重を高めて活動可能なスペースとしている。三連はしごの収納場所としては車両後方からアクセスできる背骨部分に収める方法としているが、これはクレーンを非搭載としたからこそ可能になった構造。また、かぎ付きはしごや舟形担架、水難救助用のレスキューボードなど、様々な長尺アイテムをこのスペースに収納することができる。
ベースシャーシには日野レンジャーFE(7t)を採用。これにより充実した車室空間と積載キャパを確保している。また、大型油圧救助器具も電動式を採用することで積載の省スペース化を実現。折りたたみ式の加圧排煙機やオートハイドレックスといった大型装備の搭載を可能にしている。
車体デザインにも配慮がなされ、側面に走る白のラインや、クリアレンズで統一した警光灯やウインカーなどにより軽やかな印象を演出し、中間市の公式キャラクター「なかっぱ」や世界遺産に登録された「遠賀川水源地ポンプ室」のシルエットをデザインするなど、地域PRにも活用している。

 

クレーン非搭載で積載スペースが拡張された後部。(写真左上)

後部の長尺積載スペース。(写真上)

 

ブローハードやオートハイドレックスなどが搭載されている。

 

電動式大型油圧救助器具により省スペース化を図っている。

 

車上は活動スペースに活用。キャブ上には車上伸梯用の石突確保リングを備える。

 


 

SPEC DATA
車名 日野
通称名 レンジャー
シャーシ型式 LDG-FE7JJAA
全長 8170mm
全幅 2360mm
全高 3280mm
ホイルベース 4250mm
最小回転半径 7.7m
車輌総重量 10325kg
乗車定員 5名
原動機型式 J07E
総排気量 6400cc
駆動方式 4×2
ウインチ/前(能力) ロッツラー製TR030/6(常時5トン)
照明装置 湘南工作所製SLD-4200U
配備年月日 平成28年12月6日
蟻装メーカー 帝国繊維

 

 


 

本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。

また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。

 


 

取材協力:中間市消防本部

写真:伊木則人

文:木下慎次


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