注目の消防車両 CLOSE-UP! 電源照明車
カタログ情報誌「Rising」Vol.6でご紹介した福岡県・中間市消防本部の最新鋭の救助工作車。同車のデビューに伴い、先代救助工作車とともに運用廃止となる消防車両があった。
それが、昭和の匂いが漂うクラシカルな電源照明車だ。
夜間の災害現場を明るいライトで照らし出し、大規模停電時などには電力の供給を行う電源照明車。以前は発電装置や照明装置がかなり大きく、専用車両として製作する必要があった。しかし、これら装置の小型高性能化が進み、今では救助工作車に搭載されたシステムで代用が可能になっている。そこで、救助工作車の更新にあわせ、コンパクトタイプの電源照明車は運用廃止となることが多く、全国的に減少傾向にある。
中間市消防本部の電源照明車はトヨタのトヨエースをベースに1980年(昭和55年)に製作されたもの。40年近くに渡り現場の最前線で活躍してきただけあり経年による傷みは否めないが、職員の手により車体はきれいに磨き上げられ、機械系も常に健康な状態が維持されていた。この度、更新された新救助工作車に任務を引き継ぎ、電源照明車は引退を向かえることとなった。
ダブルキャブで6名乗車が可能。ダッシュボード周りはシンプルな構造。
丸型警光灯や標識灯、スピーカーなどが並ぶ車上。照明の大きな灯体が存在感をかもし出す。
照明塔は油圧ブーム式(約3m×4段)。これにより1000Wハロゲンランプ×4灯を任意の高さまで上昇させる。
発電機にはホンダ製ES6000を搭載。これにより3相200Vの外部電源供給に対応する。コンパクトな発電機・灯体を組み合わせても、以前は独立した車両として製作が必要だった。
SPEC DATA | |
車名 | トヨタ |
通称名 | トヨエース |
シャーシ型式 | M-RY32改 |
全長 | 4930mm |
全幅 | 1720mm |
全高 | 2450mm |
ホイルベース | 不明 |
最小半径 | 不明 |
車輌総重量 | 2990kg |
乗車定員 | 6名 |
原動機型式 | 5R |
総排気量 | 1990cc |
駆動方式 | 4×2 |
トランスミッション | 4MT(コラムミッション) |
照明灯 | 1000Wハロゲンランプ×4灯 |
照明塔 | 油圧ブーム式(約3m×4段) |
発電機 | ホンダES6000 |
外部電源供給 | 3相200V |
配備年月日 | 昭和58年8月19日 |
艤装メーカー | 日本機械工業 |
本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
取材協力:中間市消防本部
写真:伊木則人
文:木下慎次