注目の消防車両 CLOSE-UP! パラメディック コンセプト

 

第45回東京モーターショー2017での初公開、そして救急資器材展2017での展示で大きな注目を集めた日産の新型パラメディック。日産がいわゆる高規格救急車のフルモデルチェンジを行うのは20年ぶり。平成4年にトラックシャーシベースの初代がデビューし、平成10年よりエルグランドのフロントセクションでおなじみの2代目にフルモデルチェンジ。そして、平成30年のフルモデルチェンジで3代目が市場投入される前に製作されたコンセプトカーが「パラメディック コンセプト」なのだ。
同車はNV350キャラバンスーパーロング・ワイドボディをベースとし、専用のスーパーハイルーフを装備。サイズとしてはトヨタ・パラメディックより全長及びホイールベースが160mmほど短く、最小回転半径6・0mという高い小回り性能を実現している。一方で、全長が短ければ患者室空間に影響を与えそうだが、その心配は不要だ。運転席後方の収納部分にて絶妙な空間調整がなされており、活動空間は最大限に確保されている。また、右側窓下収納が用意され、スクープストレッチャーをバックボードと共に収納できるようになっている。
外観は基本的にN V 3 5 0キャラバンのままで、スーパーハイルーフ部にビルトイン型の警光灯を備えている。フロント側にはドクヘリ連携などを考慮し、対空LED警光灯として上空に向けた灯体を配置。さらにリア側は側面だけでなくバックドア上部にも灯体を組み込んだハチマキ仕様を採用した。
平成30年より販売が開始される3代目では、量産に向けた仕様の見直しが行われる予定。「コンセプト」からどのような変化を遂げるのかにも注目が集まっている。

 

20年ぶりのフルモデルチェンジが行われる日産・パラメディック。

 

新たに製作されたローブを用いた主警光灯。対空LED警光灯が内蔵されている。

 

後方側面だけでなくバックドア上部にも灯体を設定。注意喚起能力が向上されている。

 

必要な機能が手を伸ばせば届くようにレイアウトされた患者室。

 

患者室内は長さ5395㎜×幅1750㎜×高さ1850㎜と広く、通路幅も400㎜を確保。(写真左)/右側スライドドアを開くとバッテリーボックスや酸素ボンベにアクセスできる。(写真右)

 

スクープストレッチャーとバックボードは右側窓下収納に収めることができる。(写真左)/資器材搭載や収納にはイントラックスシステムを採用。写真は同システムの救急バッグ。(写真右)

 

パラメディック「コンセプト」の特徴がリチウムイオン補助バッテリーを搭載している点。電気自動車「日産リーフ」で培ったEV技術を活用した、1.6kWhのリチウムイオン補助バッテリーを搭載することで、従来では使用できなかった消費電力の高い医療機器の車内使用をイメージしている。

 

平成30年より販売が開始される3代目では、量産に向けた仕様の見直しが行われる予定。

 

 

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お 知 ら せ
本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。

 


 

取材協力:日産自動車株式会社

写真・文:木下慎次


初出:2018年04月 Rising 春号 [vol.09] 掲載


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