注目の消防車両 CLOSE-UP! TEISEN 多目的救助工作車 MRV

MRV用に作られた、テイセンとローゼンバウアーのダブルネーム銘板。

 国内最大級の消防見本市「東京国際消防防災展2018」が平成30年5月31日から4日間をかけ、東京ビッグサイトで開催された。数ある展示の中で消防関係者の注目を一気にさらったのが、本誌第9号で紹介した次世代型多目的救助工作車「MRV」だ。救助工作車の心臓部といえる積載庫は、ローゼンバウアー社製の「ET」というユニットを活用。後部には同じくローゼンバウアー社製のN35ポンプが搭載されている。この後部ボディーのデザインを踏襲しつつ、キャブも朱色と白で塗分けがなされている。また、この車両はローゼンバウアー社製の救助工作車が持つ機能や空気感を大切にしており、キャブ内の手すりのレイアウトや色にまでこだわり、積載庫内のボックスやホースカートリッジもあえてローゼンバウアー社製純正部品を採用している。同車はリアポンプ仕様とすることで積載スペースを最大限に確保しており、各種救助資機材を積載した救助工作車としてはもちろん、水難救助や交通救助に特化した地域特性に合わせた増載など様々な状況に対応できるキャパを有した多目的さを備えている。
 今回の消防防災展では、全メーカーを通して救助工作車がこのMRV1台しか展示されていないという歴史的な珍事が起こった。メーカーごとに救助工作車の「カラー」が定まりつつある現在、確かに救助工作車の新要素というものは提示しにくいといえよう。そうした中で、現場の求める「初動救助対応」を強く意識したMRVの展示は来場した人々に大きな衝撃を与えた。救助工作車のパイオニアである帝国繊維では、消防隊の兼務による救助一次対応を可能とする同車を6タイプ目の救助工作車として展開していく予定だ。

参考出品車として展示されたMRV。製品化に向けた調整が引き続き行われる予定だ。

ローゼンバウアーの後部ユニット。独自構造により広々とした積載空間を確保。

積載部には電動式大型油圧救助器具も収まる。吐水口、中継口、吸水口は後方に集中レイアウト。

ローゼンバウアー製のN35型ポンプ(A-2級)。

樹脂ボックスもローゼンバウアー純正品。

予備ホースを収めるカートリッジ。

救助工作車としてウインチを搭載。

キャブ内の作り込みはあえてシンプルに。

 

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TRES 2017
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お 知 ら せ
本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。

 


 

取材協力:帝国繊維株式会社

写真・文:木下慎次


初出:2018年07月 Rising 夏号 [vol.10] 掲載


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