注目の消防車両 CLOSE-UP! エネルギー・産業基盤災害対応型消防水利システム
東日本大震災では各地で大規模危険物火災や危険物漏洩などが発生した。これを教訓とし、総務省消防庁では石油コンビナートや化学プラント等のエネルギー・産業基盤での災害に対処する緊急消防援助隊のユニットとして、平成26年度にエネルギー・産業基盤災害即応部隊「ドラゴンハイパー・コマンドユニット」を新設した。同隊は無償貸与車両であり基幹車両となるエネルギー・産業基盤災害対応型消防水利システムを中核として構成される。大容量送水ポンプ車は車両上部にクレーンを搭載し、油圧式水中ポンプを自然水利等に設定。これにより車両のA-1級ポンプに水を送り込んで加圧し、1㎞先へ毎分4000Lの送水を行うことができる。なお、水中ポンプは2基搭載されており、水害時の排水活動時は2基を連結させ使用する。大型放水砲搭載ホース延長車は自走しながら積載した150㎜ホースを1㎞延長し、車両上部の大型放水砲により最大毎分8000Lの放水が可能。同車にもA-1級ポンプが搭載されている。
平成26年度以降、石油コンビナートがある全国12自治体への導入が決定し順次配備が進められている。平成29年度は横浜市消防局と苫小牧市消防本部に配備された。横浜市消防局では平成30年4月23日の運用開始に合わせ公開訓練を実施。エネルギー・産業基盤災害対応型消防水利システムの2台を中消防署本牧和田消防出張所に配置し、他の大型化学高所放水車などと組み合わせドラゴンハイパー・コマンドユニットを構成する。また、緊急消防援助隊として全国に派遣されるのはもちろん、市内で発生する木造密集地火災等に対しても積極的に活用を行うことにしている。
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本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。 また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
取材協力:横浜市消防局
写真・文:木下慎次
初出:2019年01月 Rising 冬号 [vol.12] 掲載