岐阜県消防学校 ホットトレーニング指導者講習
いわゆる団塊の世代の大量退職に伴う火災性状を知らない若年層の増加、フラッシュオーバーによる受傷事例の増加、耐火建物と同様に高気密の木造・防火造建物の増加など、消防を取り巻く環境が深刻化している。こうした現実を受け、岐阜県消防学校では消防職員特別教育としてホットトレーニング訓練指導者講習を実施した。同校では火災の性状変化や火災現場と同様の熱・煙、注水による熱気環境の変化を体験できるホットトレーニング施設を平成30年3月に設置。同施設を県内消防本部が使用する際に必要となる指導者の育成を目的に、平成30年12月17日から19日までの3日間をかけ講習が実施された。
訓練は熱環境や火災性状を踏まえた訓練の習得(体験)、フラッシュオーバーの兆候など火災性状と注水による変化の確認、脱出時間確保のための注水技術の習得(退避時間の確保)、合図・注水影響・体調管理と水分補給の重要性を習得(隊員事故防止)などについて安全に指導できるスキルを養うことがテーマ。これにより実火災においても安全かつ効率的な消火活動を担える現場指揮者を育成するという狙いもある。
訓練では全員が学生としてホットトレーニングを経験した後に、全体説明・放水指導・アナウンス・バックアップ等の役付きポストをローテーションで担当し、役に当たっていない隊員が学生役となって行われた。この講習を通じて得られたスキルは県内消防本部へフィードバックされ、安全かつ効率的な消火活動をイメージできる消防隊の育成により受傷事故防止のさらなる徹底が図られることになる。
本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。 本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。 |
取材協力(写真・情報提供):岐阜県消防学校
文:木下慎次
初出:2019年04月 Rising 春号 [vol.13] 掲載