注目の消防車両 CLOSE-UP! 救助工作車 III型

山武郡市広域行政組合消防本部では中央消防署に配置された高度救助隊の専用車両として、近年再注目されている3軸シャーシをベースとしたビッグサイズの救助工作車を更新整備した。同本部では発生が危惧されている南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模災害時における応援出動を見据えて「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令」の別表第一~第三に挙げられる資機材全てを積載することを目的に仕様を検討。また、キャビンをバス型にすることで、NBC災害における陽圧式化学防護服の事前着装を可能にするなど、現場到着後の初期活動の迅速化を目指した。
同車はいわゆるキャブバス型であるが、積載庫の一部は車内からもアクセスが可能。ここに電動式大型油圧救助器具を積載し、交通救助における初動の強化など、一般救助活動の最適化も計られている。
積載庫も内部構造を徹底的に研究し、ラックは常置式と可動式、展開式等を組み合わせることで、積載可能資機材数の大幅増大を可能としている。
さらに、搭載クレーンも特徴的だ。車両後方の屈曲式クレーンは他本部では使用実績のない最大作業半径9.7mタイプを採用。多彩な方面への繊細な活用を可能としている。
近年では各種バス型、さらには3軸シャーシベースの大型救助工作車が各地で登場している。これも災害が多様化し、それに抗する高度・特別高度救助隊の出場範囲が管内全域、そして国内全域へと超広範囲に及ぶようになったためといえる。必要なものが必ず車両にある。この安心感が大型救助工作車の最大の武器なのである。

大型油圧救助器具などを収めた左側面。隊員用乗降ドアもこちらにある。

一面が積載部となる右側面。車両中央部には展開式ラックを備える。

前列が運転席と隊長席、その後方に隊員席が備わる。

隊員の降車動線にあたる部分に、電動式大型油圧救助器具などを積載(写真左)。
流水救助器具一式を納めたラックは車外からもアクセスできる(写真右)。

車両を運用する中央消防署高度救助隊。
| SPEC DATA | |
| 車名 | 日野 |
| 通称名 | プロフィア |
| シャーシ型式 | QDG-FR1APEA改 |
| 全長 | 9720mm |
| 全幅 | 2490mm |
| 全高 | 3730mm |
| ホイルベース | 5300mm |
| 最小回転半径 | 7.6m |
| 車輌総重量 | 6名 |
| 乗車定員 | 6名 |
| 原動機型式 | A09C |
| 総排気量 | 8860cc |
| 駆動方式 | 6×4 |
| ウインチ(前) | 大橋機産 CW5202F(5トン) |
| クレーン | パルフィンガー PK11002BRR(改) |
| 照明装置 | 湘南工作所 SLD-4000UCL |
| 配備年月日 | 平成28年3月1日 |
| 艤装メーカー | 日本機械工業 |

| 本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
取材協力:山武郡市広域行政組合消防本部/中央消防署
写真:伊木則人
文:木下慎次

















