注目の消防車両 CLOSE-UP! 支援車 II型


この車両は東日本大震災での経験をもとに、緊急消防援助隊などとして応援出場する際の後方支援能力向上を目指して仕様が検討された一台だ。当時運用されていたのは小型貨物車クラスの車両で、最大積載量は750kgほど。更新にあたり車両のサイズアップや積載効率の向上などが課題となった。
一方で、支援車と言えば用途が限定的な車種といえる。そこで、更新整備の際は日常業務・活動でも活用できる性能をいかに付加するかがカギとなる。支援車II型は規格上、コンテナが2種類必要であり、同車の場合は水難救助やNBC災害(放射性物質・生物剤・化学物質などの災害)などの特殊災害に対応する「コンテナ1」と、自然災害等による大規模災害が発生した場合、緊急消防援助隊として出動する隊員の長期間にわたる活動を支援するためのテントなどの物資を積載する「コンテナ2」を用意。加えて、多目的に使え通常は泡消火薬液の入った20Lポリタンクを多数積載し原液搬送車的な運用を可能にする平ボディーを用意している。
このように脱着式ボディーであれば後方艤装部をフレキシブルに変更でき、災害種別や内容に応じた車両へと変身させることが可能なのだ。近年では海外でもこうした仕様の車両が多くなっており、日本国内においても発電照明装置ユニットや金属火災対応用消火ユニットを整備する本部が存在する。いわば、今注目の消防車のカタチということができる。

 

同車は6mの長尺ボディー(コンテナ)を積載可能で、通常はコンテナ1(特殊災害対策車仕様)を搭載し特殊災害対策車として運用している。

 

脱着式ボディーではあるが、写真のように搭載状態でコンテナにアクセスすることも出来る。

 

ラックやカゴ台車を駆使し、空間をフル活用してアイテム収納を行っている。

 

緊急消防援助隊として出場する際に使用するコンテナ2。他にも泡消火薬液等を積載した平ボディーがある。

 

約12度という低い傾斜角度でボディーの脱着が可能。コンテナが低い位置で移動するため、写真のように直接倉庫からコンテナを出し入れすることも出来る。

 

同車は6mの長尺ボディーに対応するグランデッカーを採用。アームの上を滑るようにコンテナが移動する(写真1~4)。

 


 

SPEC DATA
車名 日野
通称名 レンジャー
シャーシ型式 SDG-GX7JLAA
全長 8340mm
全幅 2450mm
全高 2940mm
ホイルベース 4850mm
最小回転半径 8.9m
車輌総重量 11255kg
乗車定員 3名
原動機型式 JO7E
総排気量 6400cc
駆動方式 4×4
脱着装置 極東開発製グランデッカー
(JM04-40)
配備年月日 平成25年1月30日
艤装メーカー 日本機械工業

 

 


 

本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。

また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。

 


 

取材協力:山武郡市広域行政組合消防本部/中央消防署

写真:伊木則人

文:木下慎次


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