震災孤立を想定した屋上救助訓練

「横浜ハンマーヘッド」という名前の由来にもなっているハンマーヘッドクレーン。1914年に建設された日本初の湾港用電動クレーンで、歴史的産業遺産に認定されている。

 港湾部の複合施設屋上を舞台に、消防ヘリコプターを活用した救助訓練が実施された。横浜市消防局が令和8年1月14日に行った本訓練は、大規模地震に伴う液状化等により建物が外部と遮断され、屋上に要救助者が取り残された状況を想定したもの。消防航空隊、特別高度救助部隊、山下町特別救助隊が参加し、航空隊と地上部隊が連携した救助活動が展開された。

 会場となった横浜ハンマーヘッドは、客船ターミナルを中核に商業施設やホテルを融合した複合施設で、横浜・みなとみらい地区に隣接する新港ふ頭に位置する。一帯は観光拠点として高い集客力を有し、平時から多くの来訪者が滞在するエリアとなっている。今回の訓練では、同施設内のホテル「InterContinental Yokohama Pier 8」屋上から要救助者2名を迅速かつ確実に救出することを主眼として実施された。

 現場上空に進入した消防ヘリ「はまちどり1」は一定高度でホバリングを行い、隊員2名をホイストにより降下させた。降下した隊員は屋上にて要救助者の状況確認等を実施し、その後、再進入した機体から追加隊員が降下して収容体制を整えた。

 救出は要救助者の状態に応じて方法を使い分け、歩行は困難であるが比較的軽症の要救助者についてはエバックハーネスによる吊り上げを実施し、もう一名についてはレスキューストレッチャーを使用して収容した。吊り上げ時には、屋上側の隊員が誘導ロープを操作し、回転や振れの抑制が図られた。

訓練に参加した横浜市消防局の「はまちどり1」。

 大規模地震時には液状化等により建物や地区が孤立化する事態も想定され、その際にはヘリコプターによる上空からの救出が極めて重要な手段となる。本訓練はこうした最悪の状況を見据えて実施されたものであり、航空隊と地上部隊の相互の役割と動きを踏まえた一体的な活動として位置付けられる。

 同局では今後も様々な建物・施設を対象とした訓練を継続し、練度向上を図る方針である。震災等における「最後のアクセス手段」となる航空救助の精度向上に向け、実地訓練を通じた検証が継続されている。

 

  • 現場上空に進入した消防ヘリ「はまちどり1」。
  • 先着し活動している地上隊員が、ヘリに向かい「よし」の手信号を示す。
  • 手信号を受け、進入準備が行われる。
  • 隊員2名がホイストにより降下進入を図る。
  • 訓練は横浜・みなとみらい地区に隣接する新港ふ頭の「横浜ハンマーヘッド」で行われた。
  • 隊員が屋上へ進入。先着地上隊員らと連携して活動を実施する。
  • 隊員進入後に、消防ヘリは一旦現場上空から離脱する。
  • 救出開始。まずはハーネスにより一名を救出する。
  • 機内へ収容。
  • 次に担架を使用しての救出を実施する。
  • 機内へ収容。
  • 屋上側の隊員は誘導ロープを操作し、回転や振れの抑制を図る。


 


 

取材協力:横浜市消防局

文:木下慎次


初出:web限定記事

 


pagetop