令和7年度 飯能消防団 消防特別点検

 埼玉県の飯能消防団は2025年11月22日に、埼玉西部消防局・飯能日高消防署(飯能市)の屋外訓練場において令和7年度消防特別点検を実施した。消防特別点検は、消防団員が日頃から積み重ねてきた訓練の成果や、消防車両・資器材の整備状況、服装規律などを総合的に確認する場であり、消防活動の基礎を改めて見つめ直す重要な機会といえる。

 当日は観閲、服装規律の点検、部隊訓練(中隊・小隊訓練)などが順に行われた。団員一人ひとりの動作には緊張感があり、日常訓練で培われた規律と連携が随所に見受けられた。

 放水訓練では、隊形の統制や筒先操作の正確さが求められ、各分団が安定した放水を披露した。また、本年度は新たに倒壊建物・車両救出訓練も実施された。この訓練は地震などの自然災害を想定したもので、限られた状況下での判断力や団員同士の連携、資器材の適切な取り扱いが求められる内容である。災害の多様化・激甚化に対応する消防団の役割の重要性を、改めて印象づける訓練となった。

 この訓練で使用された、座屈建物をイメージした模擬家屋は、常備消防が保有するものではなく、飯能消防団が自らの訓練用として整備したもので、団員らの手によって製作されたもの。切断箇所のパネルを容易に交換できる構造とすることで反復訓練に対応し、側面には訓練の見取りや安全管理に活用できる小窓を備えるなど、本格的な仕様となっている。こうした取り組みからは、現実に即した訓練を重視し、組織体制の充実を図る飯能消防団の積極的な姿勢がうかがえる。

 一連の点検・訓練を通じ、団員たちは終始真剣な表情で取り組み、約2時間半にわたる内容を滞りなく終えた。

 この消防特別点検を通じて、飯能消防団が地域防災の最前線を担う存在として、高い意識と技術力を有していることが改めて確認された。団員の確保と持続的な活動を実現するため、過度な負担を避けつつ、現実に即した訓練と組織体制の見直しを進める飯能消防団。その方向性は、今回の特別点検でも着実に見て取ることができた。

 

  • 服装規律の点検の様子。
  • 消防訓練礼式(中隊訓練)の様子。
  • 徒列部隊と機械部隊の分列行進。
  • 大規模自然災害を想定した訓練。団部隊が現場に駆け付ける。
  • 出動部隊を二手に別け、2局面で活動を展開する。
  • 脚部保護具のチャップスを着装。
  • 倒木に見立てた丸太チェーンソーで切断。
  • 障害物除去としてエンジンカッターによる単管パイプの切断を実施。
  • 倒壊建物の屋根に上がりチェーンソーにて開口部を設定する。
  • 訓練用の模擬家屋は団が独自に整備したもの。
  • 設定した開口部から団員2名が内部進入を図る。
  • 要救助者(ダミー)に接触。直ちに救出する。
  • 手動式破壊器具により事故車両のドアの間隙を拡張する。
  • 事故車両より要救助者を救出する。
  • ポンプ車や小型ポンプを活用して行われた放水訓練(一斉放水)。
  • ポンプ車や小型ポンプを活用して行われた放水訓練(一斉放水)。
  • 団員募集や活動に対する理解を求めるため期間限定で運行されていたラッピングバスも展示された。

 


 

本記事は訓練などの取り組みを紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する内容は当該活動技術等に関する全てを網羅するものではありません。
本記事を参考に訓練等を実施され起こるいかなる事象につきましても、弊社及び取材に協力いただきました訓練実施団体などは一切の責任を負いかねます。

 


 

取材協力:飯能消防団(埼玉県飯能市)

写真・文:木下慎次


初出:2026年4月 Rising 春号 [vol.41] 掲載


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