注目の消防車両 CLOSE-UP! 化学消防ポンプ自動車 II型

山武郡市広域行政組合消防本部の中央消防署に配備された化学消防ポンプ自動車は、もっともポピュラーなII型でありながら、いわゆるキャブバス型を採用した特長的な外観を持つ。
消防車両におけるバス型のニーズは出場途上における活動準備を行うことで初動を迅速にしたいという思いが大きい。同車の場合、キャブ内は前列と後列で別れており、後列には隊員が耐熱服を車内で着装できるだけの天井高と足元スペースを確保している。つまり、出動途上における耐熱服の事前着装を目的としてキャブバス型を採用しており、現場到着後の初期活動の迅速化を可能としているのだ。
化学車を象徴する装備である放水銃には電動式を採用。隊員は火点に対して車体を防護壁とし、身の安全を確保して地上よりコントローラーにて放水銃を操作することができる。
通常であれば車両後部や車上に収納される耐熱服が車内に収納されている分、積載スペースには各種資機材が多数積載されている。同車の場合は加圧排煙機を常時積載しており、PPV(加圧排煙)戦術を可能としている。また、右側面の積載庫にはホースバッグが満載されているが、この収納方法がポイントだ。化学車の場合、水槽と薬液槽が備わるため、左右の積載庫に奥行きがとれない。そうした中で、空間を無駄なく使いつつ取り出しやすくするため、ホースバッグを縦積みしているのだ。

隊員乗降ドアがある左側面にはホースや照明器具一式などを収納。タンクとホースカー等細部のスキマにあたる部分に予備ボンベラックが備わっている。

右側面はエンジンカッター加圧排煙機といった大きな資機材が積載されている。機関員動線を考慮し、空気呼吸器1基もこちらに収納されている。

キャブの屋根から流れるようなラインを描く側面アオリ。放水銃の射線を確保するため、アオりは低めに設定されている。

車両後部には加納式ホースカーを積載(写真右)。
耐熱服は後列に収納されている(写真左)。

運転席と隊長席の間にはセンターコンソールを設置。AVM車載端末もこの位置にセットされている。
| SPEC DATA | |
| 車名 | 日野 |
| 通称名 | レンジャー |
| シャーシ型式 | LDG-FE7JJAA |
| 全長 | 7700mm |
| 全幅 | 2380mm |
| 全高 | 3150mm |
| ホイルベース | 4250mm |
| 最小回転半径 | 7.7m |
| 車輌総重量 | 11385kg |
| 乗車定員 | 5名 |
| 原動機型式 | J07E |
| 総排気量 | 6403cc |
| 駆動方式 | 4×2 |
| 水ポンプ | A-1級 |
| 水槽容量 | 1500リットル |
| 薬液槽容量 | 500リットル |
| 混合方式 | ポンププロポーショナー方式 |
| 配備年月日 | 平成27年3月6日 |
| 艤装メーカー | 日本機械工業 |

| 本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。
また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
取材協力:山武郡市広域行政組合消防本部/中央消防署
写真:伊木則人
文:木下慎次

















