注目の消防車両 CLOSE-UP! 救助工作車 III型
栃木市消防本部では緊急消防援助隊として広域応援出動する際の肉体的疲労緩和を目的に、キャブバス型の救助工作車を製作した。この車両には見えない部分で新たな技術が採用されている。
近年の乗用車などは100を超える電子制御ユニット(ECU)が備わるといわれる。ECUとセンサーなどを個々の配線で結べば相応のケーブルが必要となり、スペースや重量がとられる。この無駄を省くため、車両ネットワークとして「CAN通信」という技術が採用されている。CAN通信ではECUがすべてリンクする形で結ばれることで、従来なら数10㎏になる配線を減らすことができ、接続箇所が減ることから接続不良といったリスクを回避することができる。消防車などの特装車では車両ごとに搭載装置が異なるため、これまではCAN通信を用いるケースは少なかった。
そうした中、配線省略による軽量化やメンテナンスデータの閲覧などを可能にするこの技術を活用し、帝国繊維では新たなマルチモニターシステムを開発。これが初採用されたのが同車なのである。このモニターは従来の集中スイッチ機能やワーニングモニター機能に加え、照明装置などのリモコンとしても使用可能。また、油圧システムの作動油温度やPTOの作動時間といった情報を閲覧することができる。現場ではマルチモニターを車外に持ち出し、車体各部に用意されたコネクタへ接続することで機器のリモコンとしても使用できる。
ここでは同車のマルチモニターシステムについて紹介したが、その他の詳しい情報は「ニッポンの歴代レスキュー車BEST100(芸文社)」にて紹介されている。細部や基本情報は同誌面にて確認いただきたい。
ライズが製作に協力!初の救助工作車歴史資料!!
ニッポンの歴代レスキュー車BEST100
〔サイズ〕28.5cm×21cm(A4変形判)〔頁数〕116頁〔写真・文〕鈴木靖幸、三森進、岩沢よしひろ、木下慎次(株式会社ライズ)〔出版社〕芸文社〔発売〕2018年6月
ウインチやクレーンなどのギミック感や、インパクトのあるマーキングにより、現在では消防を象徴する車両として認識されるようになった救助工作車。旧潜攻車時代から最新車両まで日本を代表する134台を網羅するとともに、最新車両をグラビアでクローズアップ。また、救助工作車に関する基礎知識も詳解しています。この一冊で救助工作車がわかる資料誌です。
お 知 ら せ |
本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。 また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
企画協力:栃木市消防本部/芸文社
写真:岩沢よしひろ(特記以外)
文:木下慎次
初出:2018年07月 Rising 夏号 [vol.10] 掲載