注目の消防車両 CLOSE-UP! TEISEN RESCUE SERIES TYPE HS

平成30年10月18日〜10月19日にかけ、栃木県鹿沼市にある帝国繊維株式会社の鹿沼工場にて開催された第20回テイセン車両・資機材研修会(TRES 2018)。今年は車両展示としてHS型が3台展示された。このモデルはハイルーフ仕様のダブルキャブと積載庫が並ぶ定番の構造をもち、全国的にも人気のあるモデルだ。写真の車両は奈良県内の消防本部に導入されるものだが、一見すると従来仕様と大きな違いは感じられない。しかし、細部において新しい仕様が盛り込まれた、進化版のHS型といえるのだ。
同車には熟成された仕様であり隊員も使い慣れたダブルキャブを採用するとともに、車内空間拡充のためハイルーフを採用。室内高1 8 5 0 ㎜ を実現し、フロントオーバーヘッドコンソールを大きく確保することで活動性と抜群の収納性を実現。また、屋根自体も軽量化を図るべく、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)製ハイルーフが採用されている。
土台となるシャーシは、平成29年に全面改良された日野・新型レンジャー。四輪駆動で最大積載量5・5t級の消防専用シャーシを用いている。新型レンジャーでは排ガス浄化装置が大きくなり、右側スカートボックスのキャパが極少となる悩みがあった。これを解決するため、同装置が直列で横方向への張り出しが小さいホイルベース4000㎜のシャーシを採用することで同空間のキャパを確保。スカートボックスへもエンジンカッターやチェーンソーなどが収納できるようになった。
課題を見事に解消したHS型は、進化版車両と呼ぶにふさわしい仕様を備えているのだ。

軽量化に寄与するCFRP製ハイルーフが採用された最新のテイセンHS型。

右側スカートボックスに奥行きが確保できるシャーシを採用し、収納性を向上。

長尺収納庫を確保し担架などを収納。(写真左)/限られた奥行きに大型ツールを収納。(写真右)

庫内には開口部の外周に照明を設置。あわせて、LED内蔵バーシャッターを採用することで、暗所でも積載庫内から周辺までを明るく照らし出すことができる。

左側スカートボックスには充電ステーションを確保。クーラーボックスも収容可能。

牽引能力に大きなアドバンテージがあるロッツラー製トライマチック(常時5t)前後引きウインチを採用。操作リモコンは常時接続され、フロントバンパー内に収納。

ウインチの後部側の状況。

前列の天井にも収納を用意している。(写真左)/室内高は1850㎜を実現している。(写真右)

進化版と呼ぶにふさわしいHS型の最新仕様車。
| SPEC DATA | |
| 車名 | 日野 |
| 通称名 | レンジャー |
| シャーシ型式 | 2KG-GX2AHBF-DBGAAV |
| 全長 | 8000mm |
| 全幅 | 2410mm |
| 全高 | 3200mm |
| ホイルベース | 4000mm |
| 最小回転半径 | 6.8m |
| 車輌総重量 | 11560kg |
| 乗車定員 | 5名 |
| 原動機型式 | AO5C |
| 総排気量 | 5123cc |
| 駆動方式 | 4×4 |
| ウインチ(能力) | ロッツラー製TR030/7(前後引き:常時5t) |
| クレーン | ユニック製UR-G344GQKA(2.9t) |
| 照明装置 | 湘南工作所製SLD-6000UCL2-D(LED3000W×2灯相当) |
| 発電装置 | 湘南工作所製GE-2412B(10kvA) |
| 蟻装メーカー | 帝国繊維株式会社 |
| お 知 ら せ |
| 本記事は最新消防装備等を広く紹介する趣旨で製作されたものであり、紹介する装備等は弊社が製造や販売を行うものではございません。 また、当該装備の製作や調達に関するお問い合わせを頂戴致しましても、弊社では対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。 |
取材協力:帝国繊維株式会社
写真・文:木下慎次
初出:2019年04月 Rising 春号 [vol.13] 掲載

















